トレードで勝つことと、専業トレーダーとしてやっていけるかどうかは、別と考えています。トレードが上手いからといって、専業トレーダーが継続できることにはならない、ということです。スキルがあっても専業として失敗する場合もあります。
トレードが上手なら、専業トレーダーが成り立つと考えるのが普通ですね。なぜそうではないのでしょうか? その要因は、次の2つの局面に直面した時の「対応」にあるのではないかと考えています。
1.想定外の値動きの時
2.負けが続いている時
結局のところ、専業トレーダーを継続するために必要なことは、攻撃よりも「いかに防御できるか」と考えているのですが、どういうことか見ていきます。
1.想定外の値動きの時
トレードが上手い人は、大きく勝てる時期が必ずあります。そういうときに資産を増加させるものです。しかし、これは当然ながら想定内です。自分がイメージできる相場がきているのですから、その通りにトレードすれば勝てるわけです。攻撃しやすい場面で攻撃し、勝てるのは当然です。
一方、想定外の値動きのときどうトレードするのか、対応力が問われるのが専業トレーダーです。イメージと違う相場がきたときにトレードすると、勝てる確率は格段に下がるのは明らかです。そういったとき、次のような行動がいつも取れるかどうかです。
・しっかり損切りをする
・様子見する
・資金管理を徹底する
・冷静さを失わない
・やけくそにならない
・博打的なポジションを取らない
こういった行動がとれないと、滅茶苦茶なトレードになるでしょう。自滅するのは明らかです。相場から離れるという手もありますが、専業トレーダーだと、ほぼ毎日トレードしないと仕事になりません。季節労働者のように、1年のうち数か月あるかないかのボラティリティが高い時期だけ集中してトレードし、1年分の利益をたたき出すトレーダーもいます。しかし、他の数か月(たとえば8か月とか)様子見することができるでしょうか。普通の人なら、稼ぎたいですから毎日トレードするのではないでしょうか。
さらに、相場は想定外ばかりです。
イメージしていない相場で、冷静な判断ができないといけません。常に臨機応変にトレードしなければ、勝ち続けることはできないでしょう。攻めるだけでなく、しっかり防御する必要があるのです。
2.負けが続いている時
勝っているときは、誰しも心に余裕ができ、モチベーションもキープできますしこのまま専業トレーダーとして続くのだと安堵感が持てます。しかし、負けこんでいるときに自分がどう行動するかなんて、考えたくもないですよね。ですから、考えないのです。負けが続いている時は、感情に任せて非合理な行動をとるのは明らかです。
本性は、つらい状況になった時あらわになるものです。ビジネスや人間関係でも、うまくいかないときにその人の本性がでるもの。合理的ではないとわかっていても、人を簡単に裏切ったり、自分の都合や欲を満たすことを優先し、結果うまくいかなくなるなどします。トレードも同じではないでしょうか。
感情的にならず、自分を守るためにトレード全体を防御態勢になることは難しく、感情的になるのがオチです。
想定外という物理的な困難
負け続けるという感情的な困難
これらが待ち受けており、いかに防御できるかが問われます。トレードで勝てる土俵を持っているからといって、専業トレーダーが続くわけではありません。攻撃だけでなく防御もできないとダメということです。わきが甘くなっていないか見直しておきましょう。
特に、損益変動が大きいトレードをしている方は要注意です。