FXでは、利益を上げるために資金管理がとても重要です。
なぜかというと、レバレッジをかけているため、ハイリスクになるからです。FXは最大25倍と、投資の世界では断トツでレバレッジが高い取引です。ほとんどの人が、レバレッジをかけてトレードしますよね。
また、大きく稼いで、この先もっと大きな資金でトレードしたくなるはずです。そのため、資金管理は絶対に知っておいた方がいいでしょう。
私は、2009年からこれまでの間に1億以上の利益を上げていますが、負けないでここまでこれたのは、資金管理のおかげであることは間違いありません。また、10年間の月間勝率は、90%を超えています。それも、資金管理によるものです。
・FXの資金管理とはなにか?
・どのような資金管理を行なえばいいのか?
このような疑問を解消していただくために、FXならではの資金管理方法をお伝えします。参考にしてください。
1.資金管理を行なう目的
FXでは、利益を上げるために必要な要素として、次の「3つのM」が重要だと言われます。
1. Method(手法)
2. Money(資金管理)
3. Mind(メンタル)
私が初心者の頃は、とにかく手法が大事だと思っていました。
エントリーからイグジットまでどのように行なうのか。これだけを知ろうとしていました。資金管理やメンタルのことは一切考えず、手法を探していました。
その結果、ずさんな資金管理により、見たことに無い含み損に耐え切れず、メンタルも壊して大損しました。
この大損で得た教訓は、トレードで勝つには、手法だけでなく、自分に見合った適切な資金管理と良好なメンタルが必要なこと、です。3つのMは、的を得た要素でしょう。
ここでは、資金管理について考えていきます。
1.1. 資金管理の目的
最初に、FXで資金管理を行なう目的をはっきりさせましょう。目的があるからこそ、自分ならどうすべきなのか、分かってくるものです。
資金管理は、あなたが運用する資金を管理することですね。運用資金を管理する方法といっても、その意味は広く、方法もたくさんあるので一言で「こうすればいい」と言えるものではありません。ただ、資金管理の目的としては、次の2つに大別されます。
・効率よく資金を増やすこと
・資金を減らさないこと
言い換えると、
・攻める資金管理=リターンを求める
・守る資金管理=リスクを回避する
FXは高いレバレッジをかけ、元手の25倍もの取引をしているので、高いリターンを得られる反面、大きなリスクが介在します。そのため、運用資金を管理して、効率よくリターンを求めることと、リスクを回避することが目的になるでしょう。
1.2. 手綱を操ることが一番重要
次章から具体的な資金管理方法を説明しますが、どの方法が一番良いかは、あなたの経済状況や環境により、異なります。大事なことは、どのような資金管理方法があるかを知ったうえで、あなた自身が手綱を操作することです。
手綱を緩めてリターンを求めるのか、それとも手綱を締めてリスクを回避し、資金を徹底的に守るのか。今がどちらの時期か、その判断をして実行するのが、あなたのやるべきことです。
それでは、どんな資金管理方法があるのか、見ていきましょう。
2.攻める資金管理|5つのポジショニング方法
FXでは、エントリーして通貨ペアを保有することを、「ポジションを持つ」「ポジションを建てる」と言います。ポジショニングとは、ポジションの建て方のことです。「ポジションサイジング」「建玉操作」とも言います。
なぜポジショニングが重要かと言うと、ポジションの建て方ひとつで、同じトレードでも損益が大きく変わってくるからです。
ポジションの建て方には次の5つの方法があるので、自分に合ったやり方をするようにしてください。それぞれメリットとデメリットがあり、最初は自分にどれが適しているか分からないので、まずは試してみると良いでしょう。
①同じ枚数
②%で決める
③ナンピン
④マーチンゲール
⑤ピラミッディング
順番に見ていきます。
2.1. 同じ枚数
最もシンプル、かつ無難なポジショニングです。
1万通貨なら1万通貨で、1,000通貨なら1,000通貨というように、常に同じポジション量でトレードを行ないます。FXをスタートしたばかりで、トレードルールが決まっていない方は、まずこの方法から初めると良いです。
エントリーからイグジットまで、ポジション量が変わらないので、損益計算が一番楽です。
一般的な資金管理なので、たとえ上級者になったとしても、特殊なルールでない限りこのやり方で良いでしょう。
メリット:損益計算がしやすく戦略がいらないので続けやすい
デメリット:大きな枚数にするとメンタルがついていかない
同じ枚数なので、勝てるようになって資金が増えるにつれ、枚数も徐々に増やしていけますね。FXをスタートしたころは1,000通貨だとしても、5,000通貨、1万通貨と増やしていけば、同じトレードをやっても利益が大きくなるので、効率よく稼げるようになります。
ただし、FXは勝てない時期も訪れます。
この時も同じポジション量でトレードするので、同じスピードで資金が減少していきます。リターンを求めるあまり、枚数を上げるスピードを速くしている方は注意です。同じポジション量ということは、勝てない時期にリスクを落とさない、ということになります。
プレッシャーにならない枚数でトレードしていれば、問題ありません。
2.2. 金額で決める|利幅と損切り幅から逆算する
あるトレードで、買った場合に利益がどれ位になりそうか、また、負けた場合にどれ位の損失になりそうかを、利幅と損切り幅から逆算します。
そうすると、何枚が適切なのかなんとなくイメージが湧くと思います。特に、負けた場合の許容範囲をイメージすると良いでしょう。1回のトレードで、いくら以上は損したくない、という受け入れられる負け額をあらかじめ考えておくことです。
この場合、エントリーポイントと、損切りおよび利益確定ポイントを決めておくことが前提です。何pipsで利益確定する、逆行した場合は何pipsで損切りするか、決めておきます。
たとえば、ドル円を1万通貨でトレードする場合、利幅と損切り幅と次のように決めたとします。
利益確定:+30pips → +3,000円
損切り:-15pips → -1,500円
最大損失が、1,500円です。
かりに、1回のトレードで5,000円まで損失を許容できるなら、枚数を上げても良いでしょう。
3万通貨にすると、次のようになります。
利益確定:+30pips → +9,000円
損切り:-15pips → -4,500円
負け額が大きくなりますが、リターンも大きくなりますね。いくら勝ちたい、ではなく、いくらまで負けを受け入れられるか、と考えると良いでしょう。
メリット:損失額が分かるのでプレッシャーにならない
デメリット:トレード毎に枚数が変わってしまう
1回の損失許容範囲を決めたら、次は連敗を想定しておきましょう。
トレードルールが決まっていない場合、3連敗や5連敗は、たくさんあります。1回の損失が5,000円だとしても、5連敗すると25,000円の損失になります。資産が25,000円減ると考えた時、大きすぎると感じるなら、枚数を減らして1回の損失を1,500円などにしておきましょう。
要は、連敗がどれ位あるかということです。
私は、いつも10連敗は想定しています。ここまでの負け方は、年に1回あるかないか、といったところです。しかし、10連敗に近づくことはあります。
たとえ連敗しても、そのあと淡々とトレードできる取引枚数にしておくと良いでしょう。
2.3. ナンピン
保有しているポジションが逆行し、含み損になったとき、ポジションを追加して建てていくことです。含み益のときではなく、含み損になったときの話です。ポジションを追加すると、平均建値が有利になります。
たとえば、ドル円を110.00円で1万通貨買った後、109.00円に下がると、含み損は1万円です。このとき(109.00円)、1万通貨をナンピンすると、平均建値は109.50円になります(110.00円と109.00円の真ん中)。
つまり、2万通貨を109.50円で買ったのと同じということです。109.50円まで上昇すれば、含み損益がプラスマイナスゼロになるということです。
後に建てたポジションの含み益が、先に建てたポジションの含み損を帳消しにします。
メリット:約定平均値が有利になるため含み損からすぐに回復する
デメリット:ナンピンした後に逆行すると含み損が倍々で増える
ナンピンは、高度なスキルが必要で、デメリットを理解していない初心者が大損する典型的なパターンです。損切りできず、今回だけは助かりたいと、無計画なナンピンをすると一発で大損します。
逆に、最初に建てたポジションがマイナスだとしても、ナンピンしたポジションがプラスならトータルで利益が出せます。ナンピンをしていると、どこかで反転してプラスになりやすいため、勝率が良く、計画的に活用すると無駄な損切りをしなくて済みます。
ポジションを保有している間は、損益変動が大きく、利益も損失も破壊力があるポジショニングです。
2.4. マーチンゲール
あるトレードで負けたら、次のトレードで、建てる枚数を倍にしていくやり方です。
たとえば、1枚で負けたら、次は2枚にし、負けたら8枚で、その次は16枚で・・・・というように、勝てるまで倍がけしていきます。
それまでの含み損を無くすという考え方は、ナンピンと似ています。違う点は、ナンピンは損切りせずにポジションを増していきますが、マーチンゲールの場合、損切りをしてから枚数を倍がけして新たにポジションを建てます。
マーチンゲールは、ポジションを持っていない時間があるということです。
メリット:1回の勝ちでそれまでの損失をカバーできる
デメリット:連敗が続くと破産する
試算するとすぐに分かりますが、マーチンゲールは非現実的なポジショニングです。次の表を見てください。
※マーチンゲールを10回行なうと、取引枚数は最初の512倍、損失額は1000倍という天文学的な数字になるとご理解いただければ大丈夫です。
±10pipsで決済する設定で、細かい条件は次の通りです。
トレード回数:10連敗まで想定
取引枚数:負けたら次のトレードで倍がけ
損失:-10pipsで損切りした損失額
全体損失:連敗した全ての損失の合算
利益:+10pipsで利益確定した時の利益
全体利益:連敗してきた全ての損益合計
Aの箇所を見てください。
既に4連敗し、5回目のトレードになります。枚数は16枚で、-10pipsで損切りすると-16,000円です。5連敗になると、それまでの合計損益が-31,000円になります。もし勝つと、+16,0000円で、それまでの4連敗の損失を合計すると+1,000円になります。
マーチンゲールのポイントは、この+1,000円(表の一番右の全体利益)という金額です。何連敗であろうが、次のトレードで勝ったとしても全体利益は全て+1,000円にしかなりません。これでは、リスクに対してリターンがあまりにも低いことが分かりますね。
Bを見てください。
すでに9連敗し、10回目のトレードになります。このトレードは、取引枚数がなんと512枚(512万通貨)です。最初が1枚でしたので、512倍になります。この時点で、非現実的ですね。
負けると-512,000円ですので、合計損失は100万をこえてきます。±10pipsですから、もう勝つことを祈るしかないでしょう。
そもそも、512枚建てるのに必要な証拠金を準備していなければなりません。
ドル円で1枚あたりの必要証拠金が43,000円(レバレッジ25倍想定)だとすると、その512倍ですので、2,200万円必要です。さらに10回目で負ける(10連敗)となると、11回目は4,400万の証拠金が必要です。かりに11回目で勝ったとしても、+1,000円ですからね。
ちなみに、一般的な確率論で言うと、10連敗の確率は1024分の一だそうです。FXでは、非現実的な資金管理であるのは間違いないでしょう。
2.5. ピラミッディング
ピラミッディングは、ポジションの利が乗ってきたとき、ポジションを追加していくことです。追加する方法が、ピラミッドの形をしていることから、このように言われます。
ナンピンは、最初のポジションが含み損のときの話でしたね。含み損になるにつれてポジションを増していきました。ピラミッディングはその逆で、最初のポジションが含み益であることが前提です。
メリット:トレンドが終わるまで最大限の利益が得られる
デメリット:ポジションを増した後に逆行するとすぐ含み益が消える
含み益になったときにポジションを追加していく方法は、次の3つがあります。
A:ピラミッディング
B:タワー
C:逆ピラミッディング
ピラミッディングは、建造物をイメージすると分かりやすいかもしれません。
下図を見てください。
合計10枚のポジションを建てるとして、何回かに分けて建てていきますが、その建て方の違いです。
ピラミッディングの考え方の基本である、ピラミッドの形です。
最初に一番大きな4枚を建て、トレンドに乗って含み益が出たら3枚、2枚、1枚とポジションを追加していきます。最初のポジションがトレンドに乗ることができれば、大きな利益が出ます。
ピラミッドと同様に、最初に作った基礎(ポジション)が地盤をしっかり固め、上に行くに従って重さを減らしていきます。
ピラミッドが、4,000年以上も形を崩さずにいるのは、この建て方が一つの要因と言われていますね。FXのポジショニングも同じです。下を重くし、上を軽くすることで、ちょっとした逆行に耐えることができ、トレンドが終わるまでに最大限の利益を得ることができます。
タワー型のピラミッディングです。
10枚を4回ずつ建てますが、どれも同じ枚数です。建物だと、タワーオフィスやタワーマンションと言えるでしょう。メリットとデメリットの平均を取った建て方といえるでしょう。
ピラミッドと逆の形で、逆ピラミッディングと言います。
少ないポジションからスタートし、トレンドに乗るにつれて、枚数を増やしていきます。最初の枚数が少ないので、意図したトレンドが出なかったときは、最も少ない損失で済みます。イメージ通りのトレンドが出たことを確認したら、トレンドの最後にフォーカスすることで、最大限の利益を得ることができます。
ただし、10枚建てた後に少しでも逆行すると、含み益が消えるどころか、すぐに含み損へ転落します。下が軽くて上が重いので、建物だとしたら、崩れやすいのと同じ理屈です。
以上が、攻める資金管理(=リターンを求める)です。
2.6. 注意点は枚数を上げ過ぎないこと
ここまで、攻める資金管理を見てきました。
ポジショニングによっては、同じトレードを行なっても利益が大きく変わります。どうすれば最大限の利益をたたき出すことができるのか、試行錯誤していきましょう。そのために、まずは5つの方法があることをインプットしてくださいね。
そして、注意点は、どのポジショニングをやるにしても、枚数を上げ過ぎないことが大事です。なぜなら、枚数を上げ過ぎると損する確率が格段に上がるからです。その理由は、2つあります。
≪ロットを上げ過ぎても儲からない2つの理由≫
1. 損失が早い
2. 勝っても資産に見合うメンタルがついてこない
取引枚数を上げると、リターンが増えます。
ただし、当たり前ですが、損するスピードも上がります。FXはレバレッジをかけたリスクの高い投資である、ということを忘れないでくださいね。
勝つことにフォーカスしないようにしてください。時間をかけて、少しずつ損するなら受け入れができますが、短期間で大きな損をすると、現実として受けれることができずにメンタルが崩壊します。
逆に、短期間で勝ったとしても、ウハウハ気分が抜けきれず、調子にのって浮ついたトレードをやるようになります。そうすると、損するのは時間の問題です。大きな資金を運用する経験が少ないため、地に足の着いたトレードができません。
極端な話ですが、宝くじで3億円をゲットした人が、その後に破産するのと同じ末路ということです。
つまり、勝ちも負けも、取引枚数を上げるスピードが早すぎると、自信のメンタルやスキルが追い付かないということです。レバレッジを25倍もかけているのですから、勝ち急がずに、ゆっくり取り組んでいきましょう。
3.守る資金管理|資産を減らさない4つの方法
次に、守る資金管理(=リスクを回避する)を考えていきましょう。
FXは、上述のようにレバレッジをかけて少額から大きな利益を得ることができる、魅力的な投資です。その反面、リスクも大きく、資産を守る意識が無いとすぐにお金を失います。
私が、資産を減らさないために実践している4つの方法を紹介します。
3.1. 破産を防ぐ|運用資金について
FXの最大のリスクは、運用資金を全て失うことですよね。
特に恐ろしいのは、1回の損失で全財産を失ってしまうことです。FXをやるなら、まずはそうならないように資金管理を考えておくべきです。
私が一番意識している運用資金を1回で失わない方法は「運用資金を10個に分ける」ことです。一度口座資金を失っても、10回再起できるようにしておきます。
FXの資金は、多ければ多いほど、満足度が高いかもしれません。
しかし、全財産を入れておくと、失うリスクもあります。たとえば、100万円をFX口座にいれておけば、100万円を失う可能性がありますよね。
口座に資金を入れてトレードしている時点で、口座資金を失う可能性が、0%ではないのです。100万円の口座で、1,000万円を失うリスクはほぼ0%でしょう。しかし、100万円を失う可能性は、常に存在します。
誰もが、自分は口座資金全てを負けるはずがない、と考えるでしょう。
しかし、そういう人が現実として破産するのです。これは私の経験ですが、口座資金を失うときは、突然襲ってきます。連敗したときや、負けを取り返したい誘惑にかられたときなど、メンタルを崩したときは、口座資金めいっぱいのトレードをするからです(過去の私のように)。
そこで、運用資金を10個に分けておくのです。
たとえば、FXに充てられる資金が100万円だとしたら、それを10個に分け、10万円を運用資金に充てるのです。かりにその10万円を失っても、あと9回もチャレンジできますからね。勝ち続けるために重要なことは、致命傷を負わないことです。1回口座を飛ばしても、問題ありません。
1回口座を飛ばせば、入金する手続きや、新たにポジションを取ったりする時間ができますね。たった1日でもいいので、時間を空けることにより、人は冷静になるものです。
恥ずかしながら、私は、リーマンショックでその時の全財産1,000万円をわずか1か月で失っています。1,000万円もあれば、まず負けないだろうという考えでした。
しかし、口座に入金した時点で、リスクに晒されていたわけですね。FXに充てる資金が50万円なら、それを10個に分けて、最初に運用する額は5万円にすることがおすすめです。
3.2. 損切りは逆指値を利用しよう
ここでいう逆指値は、損切りのときに使う逆指値のことです。あらかじめ設定したマイナスに達すると、自動的に損切りしてくれる機能なので、想定以上の損失を防ぐことができます。
たとえば、いつも-10pips前後で損切りしているとします。相場が急変したり、負けを受け入れられないなど、-10pipsで必ず損切りできるとは限りません。ちょっとでも損切りを躊躇すると、-20pipsや-30pipsなど、あっという間に損失は膨らみます。
そこで、-20pipsに逆指値を設定しておくと、たとえあなたが損切りできなかったとしても、FX業者が-20pipsに達したら損切りしてくれます。損切りを躊躇しても、-20pips以上の損失にならないため、その1回のトレードで大損することが無くなりますよね。
逆指値は、設定しておいてデメリットは何もありませんので、面倒くさがらずに使いましょう
ほとんどの業者で、通貨ペアごとに違う設定をできるので、ぜひ活用してください。どんなに下手なトレードをやっても、設定した額以上の損失が出ることがありません。私がFXを始めた頃は、逆指値の機能はありませんでした。もしくは、私が気付かなかったのかもしれません。
そのため、2008年に1,000万という大損をしてしまったのです。現在ならどの業者も逆指値が使えますので、使うべきでしょう。これで、大損するリスクを回避できます。
設定ひとつで退場リスクを回避できるのですから、これは凄いことです。大きな損が無くなることで、大きく稼げる可能性が高くなるのではないでしょうか。
3.3. トレードから距離を置くラインを決める
FXは、調子よく勝てるばかりではありません。
負けたときの想定をしておくことも重要です。時には、連敗して冷静さを失ったり、意気消沈してモチベーションが一気に低下することはよくあります。これでは、まともなトレードができるとは思えません。自暴自棄になって大損する確率が、急激に上がるのではないでしょうか。
そのようなときは、トレードせずに、少し相場から離れてメンタルを立て直すと良いでしょう。ただし、相場から離れるにしても、どんな時に離れるのか、どれ位離れるのか、決め事が必要ですね。
私が決めているのは、3つです。
・100万円以上負けたらその月はトレードしない
・30万円以上負けたらその日はトレードしない
・10万円以上負けたらそのトレンドではトレードしない
上から長い期間になっています。
いずれも、その期間では、取り返せそうで取り返せないという悔しい金額に設定しています。これ以上負けると、ちょっとヤバいな、と感じる額です。
100万円負けると、その月で取り返すのが、できるかできないか、私にとって微妙な金額です。取り返せるかもしれないし、無理かもしれない。
もし失敗したら、倍の200万円くらいの損失が出るはずです。そうなると、もうやる気が無くなってしまいます。そうならないよう、負けを受け入れて、その月はトレードしないと決めています。
これは、2009年以降に一度も経験したことがありません。今後も、経験したくないですね。
これは何度も経験があります。
30万円を超える負けた確定したとき、まずショックを受けます。気持ちが沈む感じが、自分でも分かります。基本的に、私は負けるとやる気が無くなるタイプなので、30万円以上負けたらその日はトレードから離れるようにします。
何とか取り返したい気持ちもありますが、これ以上傷口を広げないことが重要です。ポジションを全て決済したら、あえてチャートから離れます。
これも、よくあります。
私は、一つの短期トレンドを、1回のトレードチャンスだと考えています。
相場には、一つの通貨ペアで、1日に何回か短期トレンドが発生します。数十分~数時間をひとつのトレンドと捉えています。短期トレンドが出たときにエントリーすることが多いので、そのトレンドで勝つか負けるか、という見方をしています。
何回トレードするか分かりませんが、短期トレンドが終わったときに、利益が出ていれば、戦略が正しかったと言えるでしょう。
そのトレンドで、10万円を超える損失を出した場合、そもそもチャート分析やシナリオが間違っていた可能性が高いです。つまり、取り返そうとしても、戦略自体が間違っているので、負ける確率の方がぜんぜん高いと判断できます。勝てないトレンドで、ずっと戦っていると傷口を広げるだけです。
その短期トレンドでトレードするのは止めて、違うトレンドが発生したときに、また再開します。数時間は相場から離れることになるので、新たな目線で見ることができますし、メンタルも回復しています。
一つの短期トレンドで大損を防ぐことができるので、資産を防ぐことにもつながります。
3.4. パーセントで決める
相場の世界では、よく次のように言われます。
「運用資金の5%負けたらその日はトレードを止めること」
トレーダーにより、運用資金やトレードルールが異なるので、一概に5%が適切かは分かりません。ただ、大損しないために、このような決めごとは良いことだと思います。メンタルをキープできれば、それは正しいといえます。
私は、パーセントで決めることはせず、上述したように金額で決めています。
なぜかというと、パーセントだと、金額の実感が湧かないからです。運用している証拠金は1,000万円~1,500万円ですが、資金は日々変動しますし、10万円、30万円、100万円、などのように金額で決めた方が明瞭だからです。
こうした方がいい、という資金管理はありません。
資産を減らさないために、あなたが守りやすいルールを決めてください。ルールに縛られてストレスをかかえると意味が無くなるので、あくまでも、守れる範囲で決めると良いでしょう。
4.資金管理のコツ
最後に、資金管理を決めるときのコツを、3つお伝えします。
1. 短期間で大きな変動をさせないこと
2. 継続すること
3. 時期によって資金管理を変えること
長年トレードしてきて、勝ち続けるためには、「資産を守りつつ攻めることも必要」と感じます。どちらも重要で、防御と攻撃のバランスが一番大事です。防御力は高くても、攻撃力が弱すぎればリターンは得られません。攻撃力だけ優れていても、防御力が無ければいずれ大けがを負います。
このバランスを取るために、私が意識していることです。
3つを順番に見ていきましょう。
4.1. 短期間で大きな変動をさせないこと
取引枚数を上げ過ぎない点は上述しましたが、言いたいことは似ています。
短期間で、資産がジェットコースターのように変動すると、メンタルがついてこないです。トレードのコツをつかむまでは、ところどころで負けることも想定し、資産が変動しない程度の少ない枚数にしておくべきです。慣れるまで、いかに傷を小さくしておくかが重要です。
コツをつかんだら、いよいよ大きな戦いができるというのに、準備の段階で深い傷を負っているようでは舞台にすら上がれません。最初は、短期間で資産変動が大きくならないような枚数でトレードしてください。
4.2. 継続すること
これから先、マーケットが無くなることはありません。
そのため、FXをスタートしたら、何十年とトレードに関わることになるでしょう。何十年と勝ち続けたいですよね。私は、勝ち続けたいです。
そのためには、コツコツ利益を積み上げて長く生き残る資金管理をするといいでしょう。あるときは大きく勝ち、あるときは大きく負けるようなやり方だと、どこかで再起できない損を出すかもしれません。
攻めと守りのバランスを考えるとき、大きく勝つことよりも、長く生き残ることにフォーカスしてみてください。そうすると、おのずと攻めと守りが4:6や3:7になります。
どんなに攻めの割合が少ないとしても、継続していれば稼げる金額の合計は相当なものになります。短期で稼ぐことより、長く続けることが結果として大きな利益になるのです。
4.3. 時期によって資金管理を変えること
資金管理は、一度決めたら、ある程度は守るべきでしょう。
しかし、ずっと同じ方法をキープする必要はありません。値動きが変わったり、年齢やトレード経験に応じ、自身の考え方や資産も変化していきます。その時期に適切だと思う方法を取れば良いでしょう。
現在おこなっている攻めと守りのバランスが適切かどうか、定期的に考えるようにしてください。
一度決めたら死守するつもりだと、今が適切かどうかを考えなくなります。攻め方も守り方も、臨機応変に対応していくということです。
私の場合は、2009年から2016年までは、ボラティリティが高い相場が継続していたので、スキャルピングにおいて攻めの姿勢でした。リスクを回避することよりも、リターンを得ることに重点を置き、ちょっとした損失を出してでも勝ちにいく資金管理を行なっていました。チャンスだと思えば400万通貨ほど張っていましたし、トレードしたくて毎日うずうずして過ごしていました。1日で50万円以上の資産変動は日常茶飯事でした。
2018年からは、ドル円相場が膠着したように、相場全体のボラティリティが低下したので、スキャルピングで攻めるよりもデイトレード手法で守りを重視したトレードをしています。以前よりも、大きな負けが無いのでメンタルを崩すことがほとんどありません。
このように、時期によって資金管理を変え、長く続けるつもりで取り組んでいます。
5. まとめ
手法、資金管理、メンタルのうち、資金管理はとても重要です。
手綱を操作するのは、他人ではなく自分自身です。まず、資金管理が重要だと認識するだけでも効果があるので、紹介した方法は頭に留めておいてください。
ちなみに、私は、スキャルピングとデイトレードでは、ポジショニングは全く異なります。デイトレードはシンプルにpipsにフォーカスし、スキャルピングは金額にフォーカスしていて、枚数も建て方も相場によって変えています。
実践しながら、攻めと守りのバランスをどのようしていくか、決めていってください。