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FXで負けないために知るべき認知バイアス10選 

バイアスは、「偏り」という意味です。

認知バイアスとは、「偏った考え方」ことで、「思考のクセ」「思い込み」と言えます。意思決定をするさい、認知バイアスは無意識のうちに投資判断に影響を与えるため、トレードするなら注意が必要です。

特に、FXのようなプレッシャーがかかる投資だと、認知バイアスが顕著になります。正しい行動へバイアスがかかれば良いのですが、ひとたび悪い方向へかかると、投資で勝つことはできません。

また、やっかいなことに、認知バイアスは自分で気付くことができません。

そこで、どのような認知バイアスがあるのか、認識しておくことをおすすめします。「無意識のうちにこのような行動をしているのか」と気に留めるだけでも、メンタルの安定につながるでしょう。

重要な10個の認知バイアスを紹介し、バイアスの罠にかからないためにどうすべきか、お伝えします。

1.認知バイアスは負けないために知っておくべき

認知バイアスは、人間の本質にある心理状態です。

心理状態を理解することで、FXで勝てるようになるわけではありません。しかし、認知バイアスを知ると、負けない行動ができるようになります。勝つためではなく「負けないために知っておく」べき知識です。

何をやっても勝てない方は、もしかしたら認知バイアスの罠にはまっていたのかもしれません。認知バイアスがあなたの足にしがみつき、負けさせようと引きずり込んでいるのです。無意識のうちに成功を邪魔するものだったかもしれません。しかし、その存在に気づくことで、今までのように負けなくなります。

「自分は客観的に相場を観察しているから大丈夫だよ」という方もいるでしょう。

では、今トレードで勝てないのはなぜでしょうか?もし思考のクセがなければ、すでにトレードで成功しているはずです。それが出来ていないということは、少なからず認知バイアスの罠にはまっている可能性があります。

まずは、認知バイアスを知ることが重要です。そうすれば、バイアスにはまらないように気を付けることができます。

認知バイアスと似た投資心理:FXで成功するために必要な6つの行動心理学

2.認知バイアス10選

それでは、10個の認知バイアスを見ていきましょう。

2.1. 確証バイアス

ある検証をする際、自分に都合の良い情報だけを集めようとする心理状態を確証バイアスと言います。

たとえば、ドル円を買いたいと思ったとき、上がれば利益、下がれば損失ですね。人は、このようなときに、上がる情報だけを探し、下がる情報を目にしても受け入れないようにします。また、ポジションを持ってドル円が下がり始めても、損切りできず、これから上がり始める情報だけを探すようになります。

損切りしたあと、かりにドル円が上昇してしまうと、「損切りしなければよかった」という状況になりますね。そのため、「損切りせずにホールドしている方が正しい」という情報だけを受け入れようとし、客観的な判断ができなくなります。

これは、大損する行動です。

決めていた損切りポイントに到達したら、状況に関わりなく必ず損切りしてください。損切りしなければ良かった、と思うなら、また入り直せばいいでしょう。一度損切りしてノーポジションにしておけば、ポジションを持っているときに情報を集めるより、客観的に相場を見られるはずです。

2.2. 後知恵バイアス

相場が動いた後に、「そうなると思った」と、あたかも予測できていたかのように考えてしまうのが、後知恵バイアスです。

ドル円が上がると思っていたにもかかわらず、損するリスクも捨てきれず、ロングできなかったとします。この後、ドル円が上がると、「やっぱり上がった」と思いますよね。

これが後知恵バイアスです。

実際には、ロングしなかった理由がありました。また、ドル円が下げたとしても、「やっぱりロングしなくて正解だった」と、自分の判断が正しかったと思い込んでしまうことです。

上げても下げても、自分こそ正しいと考える傾向があります。

2.3. 正常性バイアス

正常性バイアスとは、ちょっとした異常事態が起きても、正常の範囲内だと判断し、「今回も大丈夫だろう」とリスクを過小評価してしまうことです。

相場において、暴落はめったに起こりませんよね。

コロナショックやアップルショックなど、混乱するほど暴落するのは、年に1回あるか無いかです。普段の相場では、ほとんどの場合、急落しても元に戻ります。そのため、ちょっと下落しても「どうせ今回も戻るでしょ」と考えてしまうのです。

特に、ポジションを持っている場合、損失を確定させたくない気持ちと「まだ大丈夫だろう」という正常性バイアスが絡み合い、急激に悪い状況になります。

異常事態は突然起こるので、適切かつ迅速に対応できるトレーダーは、少ないのではないでしょうか。自分は大丈夫だと思い込みはせず、注意する謙虚な気持ちを持ちましょう。

2.4. 情報バイアス

情報バイアスとは、ある情報に対して違う解釈をしてしまい、偏った結果が出てしまうことです。情報から下した自分の解釈こそ正しい、と思い込んでしまうのです。

同じ情報を見ても、トレーダーによっては買い材料、別のトレーダーによっては売り材料になります。買いを推奨するトレーダーが多ければ、上がると思い込んでしまいますよね。情報が多い方が、正しいと判断しがちです。

しかし、あなたが見ている情報こそ、偏っている可能性があります。多くの情報を取り入れると安心感を覚えますが、情報過多は、逆に誤った判断に導くかもしれません。

トレードで勝つには、情報の量は関係ありません。

今は、SNSやブログなど、大量の情報を無料で得ることができます。相場は不確実性の世界なので、解釈の仕方により、正しくもあり間違いにもなります。情報が多いほど有利になるものだと思いがちです。

しかし、情報が多いために、迷いや混乱を引き起こしている可能性があります。インターネットを見まくっているのに勝てないという方は、注意してください。

2.5. 自制バイアス

自制バイアスとは、自制心を過信してしまうことです。
自分なら感情や欲望をうまくコントロールできるので、失敗はしないだろうという考えです。次のように思ったことは無いでしょうか?

・自分なら大丈夫
・本気を出せば勝てるようになる
・今回だけは特別

これは、まぎれもなく自制バイアスです。

しかし、現実を先延ばしにしているだけで、結局は自制心をコントロールできないのと同じです。損切りしないで戻るのを待つ、負けを受け入れないなど、自制バイアスはいろいろな場面で現れます。

お金を前にすると、自制心はコントロールできないものだと認識しておきましょう。

2.6. 信念バイアス

ある結果が出たとき、「その結果を出すまでのプロセスまで正しい」、そう思い込むのが信念バイアスです。

相場は、上がるか下がるかのどちらかしかありません。適当にトレードしても、数回やれば勝てるのがFXです。たとえまぐれで勝ったとしても、「自分の分析が正しかった」と、プロセスまで正当化する思考のクセです。

結果が出たからプロセスも正しいのではなく、プロセスが正しいから結果がついてきます。逆に、プロセスは正しくても、タイミングがちょっとずれれば、負けトレードになるかもしれません。負けたからといって、プロセスも間違っているとは限りません。適切な損切りを行ない、大損を防いだかもしれませんね。

トレードは結果が全てですが、プロセスが正しいことが大前提であることは、忘れないでください。その1回のトレードの勝敗がどうであれ、正しいプロセスをふんでいたかが重要ということです。

2.7. アンカリング

アンカリングとは、何かを判断するとき、先に認識している数字や情報が強く印象に残り、それを基準に決めてしまうことです。

無意識のうちに基準を作ることで、偏った判断を引き起こします。

たとえば、ドル円が108.00円という高値を付け、その後、100pips下落して107.00円になったとします。このとき、108.00円が高値だったという印象が残っていると、「100pipsも下げたからそろそろ上げるだろう」「108.00円よりも安くなった」という根拠の無い値ごろ感を持ってしまいます。

もし、108.00円の高値を知らなければ、「107.00円が安いから買おう」という気持ちにはならないはずです。106.00円から比べると、100pipsも高いことになります。

つまり、先に認識した108.00円という情報が基準となり、その後の判断を下しているということです。

通貨ペアの価格は、高すぎる、安すぎるというものはなく、その時点で適切な価格を刻んでいます。価格は常に正しく、あるトレーダーから見たら高すぎても、他のトレーダーから見たら安いかもしれません。値ごろ感は、アンカリングの影響を受けているので、注意が必要です。

2.8. 可用性ヒューリスティック

ヒューリスティックとは、「直感」「経験則」と考えて良いでしょう。

可用性ヒューリスティックは、意思決定するとき、論理的に答えを導くのではなく、直感や経験則など「思い出しやすい情報」をもとに全体を判断する思考のクセです。

たとえば、チャートを見ているとき、よく使うチャート形状や直近の値動きなど、「思い出せるパターン」と重ね合わせます。

「このパターンは上がりやすい」「経験上ココから下がりやすい」と判断し、トレードする傾向になります。思い出せるパターンの数が多ければ良いのですが、ビギナーだと知識もなく、認識できるパターンがありません。最初に覚えたやり方でトレードしてしまい、それがFXの全てだと感じてしまいます。狭い視野でトレードすることになるので、注意が必要です。

「自分はまだまだ知らないことばかりだ」という学ぶ姿勢を持ちましょう。

また、経験則を活かすには、トレードから学んでいきます。引き出しの数を増やし、自分だけの勝ちパターン(引き出しの使い方)を構築していきましょう。

2.9. 専門偏向

専門偏向とは、得意とする分野だけで判断しようし、視野が狭くなることです。

自分が専門としている領域についてはとても詳しく、さまざまな見解を示すことができます。しかし、他の視点を取り入れることができず、偏った判断をする思考のクセです。

専門的な知識を持っている金融アナリストが、自分の予測こそ正しい、と考えてしまうのが専門偏向の例です。また、移動平均線を使ったテクニカル分析を得意とするトレーダーが、移動平均線だけで相場を分析する場合にもあてはまります(これは私のこと)。

相場では、無数の分析方法があるにもかかわらず、得意なツールだけで判断しようとして、結果的に視野の狭い戦略になっているのです。

自信を持つのは良いことですが、視野が狭くならないようにしましょう。

2.10. バイアスの盲点(バイアス死角)

他人のバイアスに気付くことはできても、自分がバイアスの罠にかかっているという認識ができないことを、バイアスの盲点と言います。

これは、自分のことを棚に上げて、他人を批判する行動に似ています。自分は他人よりも優れていて、バイアスにかかりにくいと思い込む思考のクセです。

「あんなトレードしていたら勝てないよ」
「こうすればいいのに」
「早く損切りしなよ」

こう感じることはあっても、自分のことになると「なぜ自分が勝てないのか」分かりません。だから、いつまでたっても勝てないのです。

自分も、他人と同じようにバイアスの影響を受けていると考えることが大事です。そう捉えるだけで、バイアスの盲点から解放されます。

3.認知バイアスにかからない2つの行動

これまで10個の認知バイアスを見てきましたが、これらを意識しながらトレードするのは、不可能ですよね。まして、人間は都合の良い生き物で、自分が認知バイアスの罠にかかるとは思っていません。

しかし、多かれ少なかれ、考え方にクセにあるのが人間です。それが個性ですからね。個性があるから、人として魅力が出るのだと思います。

では、個性を生かしながら、認知バイアスの罠にかからないようにするためには、どうしたらいいでしょうか。決して、性格を変えるとか、根本から考え方を変えるなどと考えない方がいいでしょう。おすすめは、すぐにできる2つのことです。

3.1. 認知バイアスがあると知ること

一つ目は、認知バイアスをあるということを、知ることです。

「認知バイアスがあると知るだけで大きな習得になる」のです。

私がFXを始めた頃は、認知バイアスがあるとは知りませんでした。勝てるトレード手法があれば、それだけで稼げると思っていたので、心理的なことを勉強する意識が全くありませんでした。もしかしたら、あなたも同じではないでしょうか。

しかし、FXは資産の変動が大きく、メンタルの浮き沈みも自ずと激しくなります。メンタルの状態によって認知バイアスがあらわになり、それが成功を妨げている可能性があると知っておくべきです。

ただ、認知バイアスに対して何か対策をする必要はなく、知ることが大きな一歩になります。

3.2. ルールを決めること

2つ目は、「何事にもルールを決める」ことです。

認知バイアスにはまってしまう理由は、ルールがないからです。ルールが無いと感情のおもむくまま行動するようになり、無意識のうちにバイアスがかかってしまいます。そうならないよう、意識的にルールを決めるのがおすすめです。

FXにおけるルールは、トレード手法だけではありません。たとえば、次のようなことがあります。

・資金管理に関すること
・取り組み方に関すること
・勉強のやり方に関すること
・ファンダメンタル分析に関すること
・使うテクニカルツール
・取引時間の決め方
・検証のルール
・利幅と損切り幅のルール
・情報の仕入れ方

最初から全てを決めることは難しいので、できることから決めていきましょう。

ちなみに私は、トレード手法も何もない初心者の頃は、「勉強してインプットだけは進めよう」という心構えがありました。

・毎日1時間は本を読むこと
・毎日1時間はチャートを見て値動きを考察すること

何をやっていいのか分からないので、最低限これくらいは取り組もうという目標です。認知バイアスは知らないままでしたが、高望みしない実践可能なルールを決めたことが、上達につながったと思います。

4. まとめ

10個の認知バイアスを知り、ルールを決めたら、あとは実践していきましょう。

そして、定期的に「認知バイアスを見返す」とさらに良いです。認知バイアスは、普段は忘れていると思います。そのため、たまに振り返って「そういえばこんなバイアスがあったな」「考えが偏ってないだろうか」と考えるだけで、全然違います。

もし考え方のクセが偏っていたら、軌道修正できますし、問題ないと感じれば今日までやってきたことを続ければいいですよね。

認知バイアスは、FXをやらなければ意識することはありません。FXをやることで、己のメンタルと向き合うことなります。お金を稼ぐことはもちろん大事ですが、人間的な成長ができるのも、FXの世界です。ぜひ、楽しみながらやってみてください。