テクニカル分析 PR

サポートラインとレジスタンスラインの引き方

FXでは、サポートラインを下値支持線、レジスタンスラインを上値抵抗線と言います。トレードで利益を上げるには、「値が止まるポイント」および「値が動き出すポイント」の2つを見つけることが重要です。この2つのポイントでは、反発・反落やブレイクが起こりやすく、絶好のトレードチャンスになります。そして、サポートおよびレジスタンラインが、まさに「値が止まる/動き出す」ポイントになるのです。

そのため、サポートラインとレジスタンスラインの使い方を覚えると、トレードチャンスをものにする機会が激増します。ライントレードの根幹になりますので、この記事を参考にして引けるようになってください。

1.サポートラインとレジスタンスラインとは

サポートラインおよびレジスタンスラインは、トレーダーによって説明している意味合いが少し異なる場合があるため、注意が必要です。ただし、テクニカル分析において、定義を議論するのはナンセンスです。ここでは、最低限知っておいた方がいい意味や定義を詳しく説明します。

1.1. サポートラインは下値支持線

サポートラインは、日本語で下値支持線です。サポート(下値支持)するライン(線)です。「これ以上は価格が下がりにくい」という線のことです。この「線」の定義は、直線も曲線もあります(曲線は後述)。下図を見てください。

水平ラインと、斜めのラインがあります。

まず、水平のサポートラインの引き方は、目立った安値を2つ以上見つけ、それを結びます。3つ、4つと同じ価格帯で反発して際立った安値になっていれば、それを結ぶだけです。上図では、3つの安値がありますね。反発している数が多いほど、その価格帯を割ってほしくないという買い圧力が働くため、強い抵抗帯になります。

次に、斜めのサポートラインを見てください。

安値を切り上げていることに注目してください。上昇トレンドが発生すると、高値と安値は切り上げていきます。その安値を結ぶと、ラインが引けます。トレンドラインと同じなので、「上昇トレンドライン=サポートライン」です。

トレンドラインの実戦的な引き方や使い方は、次の記事で説明しています。

トレンドラインを覚えれば、サポートラインの理解がいっきに深まります。合わせてお読みください。

1.2. レジスタンスラインは上値抵抗線

レジスタンスラインは、「これ以上、価格が上にいかないように抵抗する力が働くライン」です。サポートラインと同様、水平ラインと斜めのラインがあります。下図を見てください。

引き方は、サポートラインの逆です。

水平ラインは、際立った高値を2つ以上見つけ、線で結びます。反落している箇所が3つ4つと多いほど、その価格帯を上抜けさせたくない売り圧力が働きますので、より強い抵抗帯になります。

斜めのレジスタンスラインは、トレンドラインのことです。下降トレンドが発生している場面で、際立った高値を結ぶだけです。「下降トレンドライン=レジスタンスライン」になります。サポートラインと同様に、トレンドラインの記事を参考にしてください。

1.3. 曲線もサポートやレジスタンスになる

水平ラインと斜めのライン(=トレンドライン)は、直線でした。2つ以上の起点を結ぶので、曲線になることはありません。しかし、サポートやレジスタンスは、ひとつの価格帯でもなりうるので、曲線の場合もあります。たとえば、移動平均線がそれ自体、抵抗帯や支持帯になります。

具体的に見ていきましょう。
次のチャートは、2本の移動平均線を表示しています。
青:中期移動平均線(75EMA)
赤:長期移動平均線(200EMA)

AやBでは、中期移動平均線(青色)が支持帯となり、価格が反発しています。また、中期移動平均線を下抜けても、次はCの長期移動平均線(赤色)が支持帯になっています。移動平均線は、直線ではなく曲線ですから、特定の価格を結ぶことはできません。

そのため、一つだけの価格が支持帯になります。価格変動が進むにつれ、移動平均線も形をかえていきますので、どこが抵抗帯になるかは分からないのです。

ラインの場合、2つ以上の起点があるので、誰が引いても似たような支持帯を認識できます。しかし、移動平均線のような曲線の場合、起点がなく、移動平均線の設定期間(パラメーター)いかんにより、価格と移動平均線がタッチする場所が大きく異なります。

ですから、移動平均線は抵抗帯の役割を果たしますが、それだけでトレードするのは危険です。ただ、ラインのように自分で引く必要が無く、チャートを開くとすぐに抵抗帯が分かるのは、移動平均線のメリットですね。

なお、下降トレンドの場合は、上昇トレンドと逆の意味合いでとらえてください。下図が下降トレンドです。ABで反落していますから、移動平均線がレジスタンスの役割をしています。

移動平均線を出しておけば、チャートを開いたとき、ラインを引かずにレジスタンスがABだと一瞬で分かりますね。

1.4. 引き方のコツは帯状で捉えること

では、サポートラインとレジスタンスラインを引いてみましょう。
次のチャートは、ユーロ/円の4時間足です。

ラインは、いかようにでも引けます。自由であるがゆえに、どのように引けばいいか迷ってしまいますよね。何度も反応している高値と安値を探し、チャートの端から端まで長いラインを引くようにしてください。

私は下記チャートのように引きましたが、ラインの引き方で、これが正解というものはありません。サポートラインやレジスタンスラインを引く目的は、チャートから情報を引き出し、良いポイントでトレードすることです。つまり、あなたがラインを引いて情報を引き出せれば、その引き方が正解になるのです。好きなように引いてください。

サポートラインを斜めのトレンドラインに、レジスタンスラインは水平にしました。

このチャートは上昇トレンドですから、安値を切り上げています。際立った安値を結ぶとサポートラインが引けます。

レジスタンスラインは、4回反落して上抜けできない価格帯があるので、ここに引けます。しかし、Aで一瞬だけ上抜けています。その後、次のローソク足で急落して再びレジスタンスラインの内側に戻ってきました。このAのポイントが迷う場面です。上記とは違う場面で、上ヒゲになっている場合も同様です。

最高値であるヒゲを起点にするか、それともローソク足の実体に引くのか迷いますね。上図のようにラインを引くと、Aがはみ出します。これでは、レジスタンスラインとはいえないのではないか? と疑問に思うかもしれません。

そこで、レジスタンスラインを帯状にとらえるようにしてください。レジスタンスは抵抗帯ですから、その名の通り帯状に引くのです。下図を見てください。

ピンポイントでラインを引こうとすると、ヒゲか実体か迷いますから、帯状で「だいたいこの辺りが抵抗帯」とします。そうすれば、迷うことはありません。また、抵抗帯では、売買が拮抗して乱高下する傾向にあります。反落するにしても、制動距離が長ければ一時的にレジスタンスラインを上抜けることがあります。逆に、早めに売りが多く入れば、レジスタンスラインの直前で反落することもあります。

ですから、アバウトに帯状でとらえるようにするのがコツです。また、アバウトにすることで、無駄なトレードを防ぐことにつながります。完全に上抜けするまで待てますし、乱高下する場面と認識していれば、様子見するなどしてダマシに引っかかる回数も減るでしょう。

なお、アバウトにとらえるのは水平ラインだけでなく、トレンドラインも同じです。

2.サポートラインとレジスタンスラインの使い方

引き方を覚えたら、実戦の使い方を見ていきます。ラインを引くだけなら、際立った高値と安値を見つければできます。しかし、我々がラインを引く目的は、チャートから情報を引き出し、トレードポイントまで見つけることです。つまり、チャート分析は、ラインを引いて終わりではなく、ラインを引いてからスタートするのです。

そこで、ラインを引いてから実戦でどのように使うのか、見ていきます。

2.1. ブレイクすると役割が入れ替わる

サポートラインとレジスタンスラインは、3つ4つとタッチする場所が多いほど、より機能しやすくなります。しかし、永遠にサポートやレジスタンスが機能することはなく、いずれブレイク(突き抜け)します。

下図を見てください。

Aでは価格が反落していますから、レジスタンスラインが引けます。しかし、Aのあとの丸印では、上抜けていますね。そして、レジスタンスラインを上抜けると、レジスタンスだった箇所がサポートに変ります。Bを見てください。Aと同じ価格帯ですが、サポートとして機能しています。サポートを下抜けると、今度はそのラインがレジスタンスとして機能します。

このように、サポートとレジスタンスは、ブレイクすると役割が入れ替わります。サポート帯がレジスタンス帯になり、レジスタンス帯がサポート帯になります。これをロールリバーサル(役割転換)と言い、このラインからN波動が出る値動きを、S波動と言います(S波動は後述します)。

※N波動については『FXのデイトレード手法』で詳しく説明しています。

2.2. ネックラインを引けるようにしよう

チャート分析では、高値どうしを引くレジスタンスラインや、安値どうしを引くサポートラインを見つけることもが要です。さらに、実戦では上述したロールリバーサルが起きている箇所を発見することも重要です。なぜかというと、ロールリバーサルが起こっているということは、その価格帯が何度も意識され、価格が反応しているからです。

つまり、「値が動き出す/止まる」というトレードポイントになります。

次のチャートは、上記と同じものです。

サポートラインやレジスタンスラインを引くだけでなく、何度も反応している価格帯も見つけるようにしてください。このようなサポートともレジスタンともいえるラインを、私は「ネックライン」と呼んでいます。

私は、と書いた理由は、ネックラインという定義がないからです。サポートラインとも言えるし、レジスタンスラインとも言えます。確かなことは、その価格帯が意識されているということです。ですから、ネックラインと呼べばいいでしょう。

ネックラインは、ローソク足を突っ切るラインになるので、現値から近くなります。サポートラインとレジスタンスラインは、現値から離れていることが多いです。現値から近いと、ネックラインにタッチする回数が多くなり、トレードチャンスが増えます

また、ネックラインは意識されている価格帯ですから、いずれそこからトレンドが出るポイントともいえます。そこで、ネックラインを引いておくと、上下どちらにトレンドが発生するのか、意識して観察できるようになります。

さらに、下図のCのように、水平ラインと斜めのラインが交わるポイントは、極めて強いレジスタンスやサポート帯になります。

ローソク足を突っ切るネックラインを引くと、2つのラインが交わるポイントを見つけやすくなります。ぜひ、引けるようになってください。

なお、私のスキャルピング手法およびデイトレード手法は、ネックラインが根幹にあります。ネックラインを引けるようになるとFXで勝てるようになるので、本当におすすめの分析方法です。

3.サポートラインとレジスタンスラインの手法

最後に、サポートラインとレジスタンスラインを活用した実例を見ていきましょう。ラインを使ったシンプルな方法で、利益を上げやすい手法です。また、頻繁に出現するシグナルで、分析方法も簡単です。ぜひ覚えておきましょう。

3.1. S波動で押し目買い/戻り売り

サポートラインやレジスタンスラインをブレイクすると、役割が転換(ロールリバーサル)することは上述しました。ロールリバーサルし、そこからN波動を描いてトレンドが出る値動きをS波動と言い、トレードポイントになります。下図を見てください。

まず、Aの価格帯で何度も反発しているので、サポートラインが引けます。そして、Bで下にブレイクしたので、このサポートラインは、今度はレジスタンスラインに役割転換しますね。ここが重要です。

そのため、Cは抵抗帯となり上値をおさえる圧力がありますから、反落する可能性があります。実際、Cから下降トレンドが発生しました。

そこで、S波動が発生するCで戻り売りの戦略を立てると、期待値の高いトレードが可能です。下図を見てください。

ネックラインが戻り売りの絶好のポイントであることが分かりますね。このように、サポートラインとレジスタンスラインがロールリバーサルした価格帯で、N字のトレンドが発生する値動きがS波動です。ネックラインが引けるポイントで、S波動が出るかどうかをチェックするだけでも、エントリーを絞り込むことができます。

トレンドフォローにおいて、押し目買いや戻り売りが有効であることは確かですが、どこが押し目や戻りになるか判断するのは簡単ではありません。ネックラインが引けると、そこが押し目や戻りポイントになるS波動の想定ができるので、トレードがしやすいのです。

上図の矢印にきたとき、ネックラインを上にブレイクするか、それとも反落するかは、正直わからないですよね。しかし、反落して下げ始めると、N波動の下降トレンドがイメージできます。「下げるならココから」というポイントですから、ポジションが持ちやすいのです。

ネックラインが引けたときは、S波動を意識してチェックしてみてください。練習すれば、すぐに見つけられるようになります。

3.2. ライン付近ではチャートパターンを待つ

S波動を活用すると、上述のように押し目買いや戻り売りができるようになります。そして、他のテクニカル分析も組み合わせると、さらに期待値が高いトレードが可能です。S波動は、いわばネックラインだけを活用したトレード方法です。ラインだけですから、引きようによっては、いかようにでもS波動を観測できてしまいます。

そこで、S波動が発生しそうな場面で、「チャートパターンが形成されるまで待つ」ようにします。下図を見てください。

サポートラインを下抜けたあと、レジスタンスラインになりました。戻りを付けて何度か反落していますが、すぐにS波動が出ることはなく、もみ合ってボックス相場になりました。結果的に、そのあと下落していきましたから、S波動といえます。

しかし、ネックラインを下抜けたとき、すぐにN波動が出るのではなく、ボックスというもみ合いを経てS波動になりました。

実戦では、ネックラインをブレイクしてすぐにトレンドが発生するのではなく、ネックラインをブレイク後、もみ合ってチャートパターンを作ってからトレンドが発生することがよくあります。

つまり、「ネックラインをブレイク→すぐにトレンド発生」ではなく、「ネックラインをブレイク→チャートパターン→トレンド発生」という流れです。ですから、ネックラインをブレイクしてすぐにポジションを持つと、どっちつかずの状態になります。

そこで、ブレイクしたあとに、さらにチャートパターンが形成されるのを待ち、そのチャートパターンがS波動を作る方向へブレイクするまで待つと、より期待値が高くなるのです。上図では、ネックラインを下抜けたとき、S波動の想定ができますね。しかし、本当に下降トレンドが出るか分かりません。逆に、上にブレイクするかもしれませんね。

そこで、チャートパターンが出るのを待ちます。今回はボックスが形成されましたから、ボックスを下抜けて、ようやくS波動が出る可能性が高くなりました。ネックラインを下抜けたことと、ボックスを下抜けたことで、下落する根拠が2つあるからです。

このように、ネックライン付近でチャートパターンを組み合わせるといいでしょう。

4.まとめ

サポートラインとレジスタンスラインは、トレードで活用できるツールです。シンプルですが、コツをつかむとライン1本で情報を引き出せるようになり、エントリーからイグジットまでできてしまう、いわば魔法のラインです。高値や安値だけ引くのではなく、ローソク足を突っ切るネックラインが引けるようになると、トレードの引き出しが大幅に増えます。

これまでラインを引いても手ごたえがなかった方は、記事で紹介した引き方をして、実践してみてください。