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FXの順張りスキャルピング手法|トレンドで利益を最大化する極意

私が行っているスキャルピング手法は、順張りと逆張りの2つです。2009年から逆張りスキャルピングをスタートし、「ここは順張りの方が期待値が高いのではないか」、という気づきが多くなり、2015年あたりから順張りを取り入れました。今は2つの手法でスキャルピングしています。

順張りのメリットは、利幅が取れることと、トレンド方向へ何度も回転売買ができることです。逆張りと合わせると、一つのトレンドでかなりのトレードができ、結果として資産増加スピードが上がります。

この記事では、順張りスキャルピング手法を、簡潔に紹介をしますので参考にして下さい(逆張り手法はこちらの記事で書いています)。

1.順張り手法の2つの型

まず、チャート設定です。
順張りスキャルピングは、逆張りと全く同じです。1分足に移動平均線とエンベロープを表示します。下記が完成した1分足チャートで、エンベロープで5つのゾーンを認識します。

※パラメーターなどのチャート設定方法はこちらで書いています。

エンベロープで5つのゾーン(空間)を作ります。ただ、順張りは5つのゾーンを直接シグナルに使うことはしません(逆張りは5つのゾーンが重要です)。エントリータイミングは、「移動平均線」とテクニカル分析で導き出した「ネックライン」で判断します。

エントリーポイントは次の2つです。

①ブレイクするポイントで行なう
②押し目や戻りで行なう

まずチャート分析をしてネックラインを見つけ、移動平均線を軸に、ブレイクポイントや押し目・戻りでエントリー(トレンドフォロー)します。テクニカル分析は、値が走り出すポイントを浮き彫りにするために使います。

これを前提に読み進めると、本手法はすぐに理解できると思います。2つの型を順番に見ていきます。

1.1. ブレイクするポイントで

1分足において、ブレイクする瞬間、もしくはブレイクした直後にエントリーします。ブレイクとは、サポートラインやレジスタンスラインを、勢いよく抜けることです。したがって、いかにサポートやレジスタンスを見つけるかがポイントになります。

チャートを見てみましょう。
下記はドル/円1分足です。ABがレジスタンスになっていますから、水平のネックライン(レジスタンスライン)が引けます。Cで上にブレイクしているので、ブレイク時にロングします。

その後、Dが高値となりEで反落しているので、ネックラインが引けます。このラインを上抜けしたFでロングします。利益確定については後述しますが、順張りスキャルピングの全ておいて、数秒から長くても数分です。

違う場面を見てみましょう。
下記は豪ドル/米ドル1分足です。下降トレンドが発生し、Aの前に安値ができたので水平のネックライン(ここではサポートライン)が引けます。Aで下へブレイクしたので、ショートします。BからEも、直前の安値にネックラインが引けますから、各ラインを下へブレイクするタイミングでショートします。

このように、トレンドが発生すると、そのトレンドの中で高値や安値ができ、水平のネックラインが引けます。トレンドが継続するなら、水平ラインをブレイクするときに勢いが出ることが多く、そのタイミングでエントリーします。

なお、サポートやレジスタンスラインは水平でなくても構いません。ここでは水平ラインだけ紹介していますが、斜めに引くトレンドラインをブレイクするときも、同じようにエントリーします。

1.2. 押し目や戻りで

2つ目のエントリーポイントです。
次のチャートは、水平ラインが引けたあと、Aで上にブレイクしました。Aは上述のとおりにロングエントリーします。その後、Bで押し目ができました。上昇の短期トレンドが発生すると、一方向へ上がり続けるのではなく、上昇したら少し反落し、また上昇して高値更新していきます。この反落するときがBの押し目です。

トレンドは押し目をつけながら継続します。
そこで、Bから上昇しはじめたら、そこが押し目になってトレンド回帰する想定できるので、ロングします。トレンド回帰するなら直前の高値を更新するので、利幅が取れます。Cも同じく、反落から上げ始めたタイミングでロングします。移動平均線がサポートしている点に着目して下さい。

移動平均線そのものがサポートラインになることが多く、移動平均線で反発したらトレンド回帰をイメージして下さい。なお、ロングするタイミングは、数pips反発するか、陽線が確定し、上げ始めたことを確認できてからです。反落している最中にロングするのではなく、必ず上げ始めを確認しましょう。そうしないと、Dのように反発しないときに損切りになります。

違う場面を見てみます。
下記はユーロ/米ドル1分足の下降トレンドです。Aで安値ができたので水平のネックラインが引けます。Bの手前でこの水平ラインを下抜けし、戻りをつけてBにタッチしました。戻りをつけたので、Bから下げ始めたらトレンド回帰が想定できますので、ショートエントリーします。エントリータイミングは、数pips反落するか、陰線が確定するまで待ちましょう。

なお、ショートして数pipsで利益確定し、さらに下げるようなら再度ショートするといった、回転売買も可能です。それは勢いを見て判断します。Cはエンベロープのゾーンに入っているので、逆張りシグナルですからロングします。

エントリーの2つの型は以上です。
意外とシンプルだと思います。あとは、この2つの型の期待値を上げるために、テクニカル分析をさらに組み合わせ、ネックラインを見つけていきます。

2.期待値を上げるチャート分析

順張りでエントリーする2つのポイントは、「ブレイク時と押し目・戻り」でしたね。チャート分析を行ない、これら2つのポイントの期待値を上げていきます。

2.1. 移動平均線に沿ったライン

短期の上昇トレンドが発生すると、高値と安値を切り上げながらトレンドは推進していきます(下降トレンドの場合は切り下げる)。ランダムに安値をつけるのではなく、安値を切り上げる角度をキープすることがあります。そうすると、トレンドラインが引けます。

下記は、ポンド円の上昇トレンドです。
Aで高値をつけた後(Aは逆張りシグナル)、Bまで反落しました。Bで反発したとき、押し目ではないかと想定できます。安値を切り上げる角度が同じなので、Bの直後にトレンドラインが引けます。そこで、Bでロングできます。

また、Cは同じ角度のトレンドラインにぶつかるので、ここで反発すればさらにトレンド回帰していく想定ができます。トレンドラインが引けると、押し目がわかりやすくなります。さらに、上図のように移動平均線に沿ったトレンドラインが引けると、より期待値が高まります。Cから上昇しはじめたらロングシグナルです。

移動平均線そのものがサポート帯になることは上述しました。それに加え、移動平均線と同じ角度のトレンドラインがサポートになっています。つまり、移動平均線とトレンドラインという2つのサポート帯が重なるポイントになり、強い反発が想定できるのです。もし反発すれば、トレンド回帰して直前の高値を更新していく可能性が高まるということです。

実戦では、Bで反発したら、高値更新までロング回転ができます。Bから1本ごとにエントリーとイグジットするスキャルピングや、長めにホールドして1回のスキャルピングで利幅を稼ぐことも可能です。Cも同じく、反発したらロング目線でスキャルピングできます。

2.2. 急角度は長続きしない

トレンドラインが移動平均線に沿って引けると、比較的かんたんにトレードできます。しかし、切り上げや切り下げる角度が、いつも移動平均線と同じになるわけではありません。トレンドが強いと、移動平均線よりトレンドラインが急角度になります。

次の下降トレンドを見て下さい。
ところどころでトレンドを強めており、移動平均線より急角度のトレンドラインが何本も引けます。ラインが急角度の場合は長続きしないで注意が必要です。AやBのように、トレンドラインにぶつかって下げる想定でショートしても、トレンドラインを上抜けて勢いを弱めています。

特にBでは、ショートした後に移動平均線まで戻しているので、ショートは損切りになるでしょう。Bのあとの丸印も同じです。移動平均線より急角度のトレンドラインだけで判断すると、ことごとく損切りになるので注意が必要です。

2.3. 短期トレンドをN波動でとらえる

トレンドが発生すると、押し目や戻りをつけながら進んでいきます。決して、一方向へ進むものではありません。これはすでに述べた通りです。そして、トレンドの推進や押し目、戻りなど一連の値動きを線で表すと、「Nの字」になります。

豪ドル/円の1分足下降トレンドです。

サポートラインを下抜け、トレンドが発生していますね。戻りを付けて安値を更新しているプロセスを線にすると、Nの字になります。トレンドが発生すると、すぐに終わるのではなく、戻りを付けて推進していき、Aあたりまで到達します。トレンドは最終的にNの字になり、これをN波動と言います。

トレンドが発生し、押し目や戻りを付けた後にトレンド回帰すれば、N波動を描きますから、どこまで進むのかイメージしやすいですね。ですから、下記のようにトレンド回帰して推進する局面で順張りをすればいいのです。

トレンドは、いつ終わるかわかりません。しかし、戻りをつけたときにN波動をイメージすれば、Nの字の後半部分がこれからできますから、ある程度下げる想定ができます。その推進場面(上記の四角部分)で順張りをします。

回転売買をするか、1回で数分とか長めにホールドしても良いでしょう。

2.4. 3段上げと3段下げ

トレンドは、ひとたび発生すると否定されるまで続きます。N波動は、ひとつのNで終わるのではなく、押し目や戻りを何度もつけ、数回にわたってトレンド回帰していきます。つまり、N波動が何回か続くということです。

何回続くかというと、3回の推進を基準にするのがおすすめです。下記のように、1回目の推進でトレンドが発生し、押し目をつけて2回目の上昇があるとN波動が完成します。トレンドはそれで終わりではなく、再び押し目をつけて3回目の上昇があります。相場では、これを3段上げと言うことがあります(下降トレンドは3段下げ)。

3段上げがあると、上昇トレンドは達成感があります。N波動でとらえるか、3段上げとして見るかはどちらでもいいでしょう。3回上昇したらひと段落する、と考えて下さい。

順張りできる箇所は、2段目と3段目です。まず1段目でトレンドが発生しますが、ここはトレンドかどうかまだわかりません。押し目をつけ、トレンド回帰した2段目の途中で、これはN波動がでるかもしれないと想定できます。ですから、2段目から自信を持って順張りできます。押し目をつけ、上昇しはじめたら3段目ですから、同じように順張りできます。

このように、1段目をトレンドの基準とし、押し目をつけて上昇したら2段目、3段目ができますから、その推進部分で順張りします。期待値が高いのは、2段目と3段目ということです。

2.5. ローソク足3本押し、3本戻し

押し目や戻りを、ローソク足の本数でとらえる方法です。下記は、勢いがある下降トレンドです。Aの戻り場面を見てください。戻りのローソク足は陽線になり、3本続くとその後からトレンド回帰しやすいです。

ポイントは、下落と戻りにメリハリがあることです。トレンドが発生し、戻りをつけるまで、8本の陰線が連続して形成されています。陰線と陽線が混ざり、だらだらと下げてきたのではありません。下がるときしっかりと下げ、戻りも陽線が連続して3本出ています。こういうときは、次に下げる時もしっかり下げやすくなります。そこで、戻りで4本目に陰線が出はじめたら、ショート回転します。

上昇トレンドも見てみます。
下記はドル円の上昇トレンドです。Aの箇所で押し目をつけていますが、陰線が3本出て、次の陽線からトレンド回帰しています。Aの前の陽線も連続しており、きれいに上げてきた中で陰線が3本出ています。

トレンドが発生した後、押し目や戻りのローソク足が3本続き、次のローソク足からトレンド回帰したら順張りエントリーを開始します。ただし、いつも押し目や戻りがローソク足3本になるわけではありません。2本の場合もあれば、10本くらいもみ合うこともあるでしょう。ですから、4本目ですぐエントリーするのではなく、トレンド方向へ進むまで待つことが大切です。

2.6. S波動

レジスタンスラインを上抜けすると、サポートラインに役割が入れ替わります。次にこのサポートラインで反発する一連の値動きのことを、S波動と言います(下降トレンドはサポートがレジスタンスへ転換)。

下記は、ユーロ円の上昇トレンドです。
1の推進と押し目があり、2の推進が始まった後にネックライン1が引けます。このネックラインはレジスタンスです。そして上にブレイクし、ネックライン1の丸印で反発していますね。このときのネックライン1はサポートの役割に転換しています。そして、3の推進が出る一連の値動きがS波動です。

ネックライン2も、レジスタンスからサポートへ転換しています。ネックライン2の丸印で押し目をつけて反発しています。ネックライン1と2は、上抜けしたあとサポートになるとわかっているので、反発したらトレンド回帰してさらに上昇する想定ができますね。

そこで、ネックラインで反発したら順張りスキャルピングを開始します。ネックライン1は、このネックラインを下抜けるまでトレンドは否定されませんから、何度もロング回転できるでしょう。2の推進からトレンド回帰すると、3段上げがイメージできるので、ネックライン2を上抜けしたあとは、ある程度の値幅が出る想定で順張りできれば良いでしょう。ロングして利益確定というトレードを、繰り返し行なうことができます。

2.7. チャネルライン

1分足で上昇トレンドが発生すると、高値と安値を切り上げながら上昇します。上昇したら少し反落し、また上昇していきます。このときに高値と安値ができます。直近の高値と安値を切り下げることはなく、必ず切り上げます。

この切り上げるとき、同じような角度になることがあります。そうすると安値側にトレンドラインを、高値側にアウトラインを引くことができます。トレンドラインとアウトラインを平行に引いたのが、チャネルラインです(下図)。

チャネルラインは、トレンドの後半から引くことができます。最初のチャネルラインは、Aで反発したあたりで引くことができるでしょう。トレンドが続くなら、アウトライン1まで到達するのでAからBにかけて順張りできます。

アウトライン1を上抜けたあとは、流れが変わって勢いが出ました。しばらくチャネルラインは引けず、Cあたりで安値の規則性がわかりトレンドラインが引けます。平行にアウトライン2が引けますから、このアウトライン2に到達するまで順張り回転できます。Dでタッチし、エンベロープに到達しているので逆張りシグナルです。

ここまで、7つのチャート分析を見てきました。ブレイクや押し目、戻りポイントを、これらのチャート分析と組み合わせると、期待値がかなり上がります。組み合わせ方は、これら7つだけでなく、たくさんあります。

※逆張り含め、順張りスキャルピングの手法は書籍で全て詳しく書いているので参考にして下さい。

3. 利益確定の方法

順張りスキャルピングの利幅は、ほとんどが数pipsになります。利を伸ばす意識をすれば、10pips以上取れる局面もたまにあります。しかし、数pipsの利幅を何度も取る方が断然多いです。

数pipsでイグジットするので、利益確定は簡単と感じるかもしれません。しかし、利益確定はひとつではなく、幾通りもあります。ここでは、次の9つの方法を手短に紹介します。

① 利が乗ったらすぐに行なう
② ポジションホールド時間
③ ローソク足の長さ
④ 値幅を基準にする
⑤ エンベロープのゾーン到達
⑥ 小さなN波動を想定
⑦ 反対色の足が出たら利益確定
⑧ テクニカル的な節目まで
⑨ アウトラインまで

トレンドの勢いやボラティリティなどにより、最適な利益確定は異なります。大切なことは、「どんな方法があるのか知ること」です。まず方法を知り、実戦で試してみてください。いつも決まった方法ではなく、相場によって利益確定は異なると理解できるはずです。

3.1. 利が乗ったらすぐに行なう

順張りエントリーし、数pipsの利益が出たらすぐに利益確定する方法です。反転する前に利益確定することで、含み損に転ずるリスクを回避できます。

下記チャートは、ユーロ/米ドル1分足の上昇トレンドです。Aでブレイクしてトレンドが発生したので、ここから推進しています。順張りですから、トレードは買いですね。

「ここは上がるだろう」という1から5の場面だけロングし、利が乗ってすぐに利益確定すれば、確実に利益を得ることができます。これを繰り返せば、1回の利幅は少ないものの着実に利益を積み重ねることができます。エントリータイミングが悪いと含み損になるので、下がる前に利益確定することで損失を回避できます。押し目をつける前に利益確定する、という考え方の利益確定です。タイミングによってはエントリー直後から含み損になりますから、そのときは損切りしてください。

なお、損切りは利幅と同じくらいの数pipsで行なうと良いでしょう。エントリーし、逆行したらすぐに切るイメージです(損切り方法は後述します)。

3.2. ポジションホールド時間

一定時間ホールドし、利益確定する戦略です。利幅や損切り幅はトレードごとに変わりますが、数分間のホールドを目安にします。

下記チャートはドル円1分足です。
急落してAで止まり、戻りをつけてからショート戦略でスキャルピングするとします。Bのポイントでは、7分で値幅が14pips出ました。数秒で利益確定するのではなく、3分なら3分ホールドすると決めて、その時間ホールドしてから利益確定します。ここでは、14pipsとはいわないまでもかなりの利幅が期待できます。

ホールド時間を決めておくと、利を伸ばしやすくなるものです。いつも2pipsで利益確定していると、Bのような利幅が出る場面でも必ず2pipsになりますから、もったいないです。あとちょっとホールドしていれば、かなりの利幅が取れる場面で、実際に取れるようになります。何分ホールドするか正解はありませんので、任意で決めます。

数秒のスキャルピングを繰り返すか、数分ホールドして大きな利幅を取るかの違いです。どちらにしてもトレンド方向へポジションを持つので利益は出るでしょう。

3.3. ローソク足の長さ

長いローソク足が出たら利益確定します。
ホールド時間を考えず、少し利幅が出るまで待ちます。それを、長いローソク足で判断します。下図は、ポンド/米ドル1分足です。

Aで下へブレイクし、ショートしたとします。
矢印の箇所で長いローソク足が出たので利益確定します。短期トレンドが発生すると一時的にオーバーシュートすることがありますから、それをローソク足の長さで判断します。ブレイク時やトレンド回帰して値幅をだす局面では、ローソク足が長くなるというイメージです。

この利食い方法のメリットは、なんといっても利幅が取れることです。長いローソク足になる、つまり利幅が出るまで待つので当たり前といえますね。ただ、Bのように長いローソク足が出ないこともあります。ある程度ホールドして長いローソク足がでなければイグジットするなど、決めておいた方が良いでしょう。

3.4. 値幅を基準にする

事前に想定した値幅を達成したら利益確定する方法です。値幅観測をし、今からどれくらいの値幅が発生するのかイメージします。到達地点を決めるので、トレードしやすくなります。

チャートはユーロ/円1分足です。

Aで押し目をつけてBまで上昇し、BからCまでもみ合いとなりました。Cにきたとき、上昇してきたAB間の値幅を取り、それをトレンド回帰した起点Cから、同じだけ値幅を取ります。そうするとDが出ますから、Cから上げ始めてロングしたとき、利益確定のポイントをDに設定します。

CからDまで4分ですから、数分ホールドすれば、最大の利幅が取れることになります。ホールドする根拠がないと、いつイグジットするか迷いますが、Dという到達の目標地点があるのでホールドしやすいです。

3.5. エンベロープのゾーン到達

エンベロープのゾーン到達を目安にします。

トレンドは、推進と押し目や戻りが明確で、メリハリのあるものばかりではありません。押し目や戻りが認識しにくく、だらだらとゆっくり進む場合もあります。こういうじりじり相場のときは、長いローソク足が期待できないなど利益確定に迷います。そんなときは、エンベロープのゾーン到達を利益確定の目安にします。

下記はポンド/円1分足です。

丸印で長い下ヒゲがあり、Aあたりで短期下降トレンドが発生するかもしれないと判断できれば良いでしょう。ただ、大きく下落することはなく、じりじりと高値と安値を切り下げていく相場です。

そこで、移動平均線まで戻したらショートし、エンベロープのゾーンに入ったら利益確定します。Aでは、エントリーからエンベロープ到達まで、4分の間に数pipsを取るトレードを、数回繰り返してもいいでしょう。もしくは、1回エントリーしたらエンベロープまでホールドし、利幅を取ることも可能です。

エンベロープに到達するまでショート目線でスキャルピングするということです。BとCも同じです。エントリーからエンベロープ到達まで、ショート戦略で利益を積み上げるチャンスです。

3.6. 小さなN波動を想定

短期トレンドの中で形成される、小さな波動を利用する方法です。

トレンドは、一方向へ進むのではなく、押し目や戻りを付けながら進んでいきますね。このプロセスがN波動になります。そこで、上昇トレンドなら押し目ができたときにN波動を想定し、どこまで進むか決めて利益確定の目標にします。

下記はユーロ/円1分足です。

Aでブレイクしトレンドが発生しました。
Aの直後は上昇トレンドに対して自信が持てないかもしれません。しかし、Bの前半部分で上昇と押し目をつけたとき、N波動のイメージが持てます。押し目では、移動平均線で反発していますし、移動平均線が上向きです。

そこで、Bの後半で上昇すると想定します。N波動前半の上昇が、後半にも同じくらいあると考えれば良いでしょう。どこまで進むのか、そして値幅がどれくらい出るのかは、前半の上昇と押し目で計算します。目標地点は少しあいまいな部分もありますが、おおよそイメージできれば問題ないでしょう。CやDも同じです。N波動が形成されるなら、Nの字の後半部分で上昇トレンド回帰しますから、順張りしていきます。

3.7 反対色の足が出たら利益確定

トレンド方向とは逆方向のローソク足が出たら利益確定する方法です。値幅、ホールド時間やインジケーターなどの目安を考えずに、ローソク足の色だけで判断します。

チャートは豪ドル/円の1分足です。

Aでネックラインを上にブレイクし、トレンドが発生しました。Bのポイントは、押し目をつけて上昇トレンド回帰しようとしている局面です。N波動をイメージし、Bあたりでロングするとします。反対のローソク足の色、つまり陰線が出るまでホールドします。ここでは、Cで陰線が出ました。BからCまで6本の陽線になり、値幅は10pipsほどあります。

BからCまでホールドすることで、1回のトレードで利幅が稼げます。損切りは、エントリー後に陰線が出たら実行します。

3.8. テクニカル的な節目まで

テクニカル的な節目は、売買で意識される価格帯のことです。サポートラインやレジスタンスラインといったネックラインとお考え下さい。トレンドは、流れが否定されるまで進みますが、反対ポジションの圧力が強い価格帯では、いったん止まる可能性が高まります。一時的にでも反転する確率が高まるので、利益確定をしておいた方が良いポイントです。

下記は豪ドル/円1分足です。

ネックライン1を上抜け、上昇トレンドが明確になりました。Aあたりでロングしたとします。このときはまだネックライン2が引けませんから、Bで反落することはわかりません。エンベロープのゾーン到達で利益確定するか、N波動を目安にするかなど方法はたくさんありますから、任意で決めてイグジットします。

Bから反落したので、Cの手前ではネックライン2を引くことができます。Cで長い陽線が出ていますから、この陽線の途中でロングできたら、利益確定の目標をテクニカル的な節目であるネックライン2に設定します。Dのポイントです。Bが高値になっていますし、88.50円という50pips刻みのプライスで意識される価格です。したがって、ネックライン2は抵抗帯になるため、Cから上昇してこのラインにぶつかると反落する想定できます。いったんDで利益確定しておきます。

なお、テクニカル的な節目は、1分足だけでは発見できません。トレード前のチャート分析で、上位足をチェックして節目を見つけておきましょう。

3.9. アウトラインまで

チャネルラインが引けたとき、アウトラインを目安にします。次のチャートは、ポンド/円1分足の上昇トレンドにチャネルラインを2つ引きました。

前半のチャネルラインは、Aから上昇してから安値と高値の起点ができるので、チャネルラインが引けるでしょう。そうすると、アウトライン1が自ずと出るので、Bを利益確定の目安にします。アウトラインにぶつかるBまで上昇する、という目線を決めることができます。

Bをブレイクしたあとのチャネルラインも、同じ手順で引きます。Bからトレンドを強めて勢いが変わりましたので、Cあたりでようやくチャネルラインが引けます。そうすると、アウトライン2が出ますので、トレンドが推進する目安をDにします。

チャネルラインは、高値と安値の切り上げが規則的になったとき引くことができます。アウトラインが目先の到達ポイントになるため、利益確定に最適です。

利益確定の9つの方法は以上です。
順張りのイグジット戦略は、さまざまな方法があります。各戦略の特徴を理解し、実戦で試してみて下さい。局面により、どういう方法が利益を最大化できるのか、考えながらスキャルピングしていきましょう。

4.損切り方法

利益確定は、エントリーからイグジットまでの戦略により、幅広い選択肢がありました。一方、損切りは、どんな相場だとしても「逆行したら実行する」という一貫した判断が共通しています。ただ、逆行したらすぐ損切りするとはいえ、その度合いを何で測るか迷いますね。

そこで、損切り方法を具体的に3つの方法で見ていきます。

逆行したら即切る
 想定が否定されたとき
損切り幅で決定

4.1. 逆行したら即切る

エントリーから、1pipsや1ティックでも逆行したらすぐに損切りすることです。ブレイクする瞬間や、トレンド回帰を強める場面で、まさに今から、ほんの1秒後から上がるだろうと思ってエントリーしたときの損切り方法です。

ブレイクしたら急騰や急落するかもしれない、という場面を思い浮かべて下さい。エントリーし、ブレイクしなかったら急激に反転するかもしれません。ブレイクの瞬間を狙ってエントリーしたなら、ブレイクしないで反転したときに即損切りします。

4.2. 想定が否定されたとき

エントリーするときの想定と異なる動きになったら損切りします。

移動平均線付近でトレンドフォローしたとします。逆行し、移動平均線を反対へつき抜けたら損切りするなどです。テクニカルで判断しますので、ここを反対に抜けたらトレンドが否定される、というポイントを見つけておく必要があります。安値を切り上げているとき、エントリーして安値を切り下げてしまったときも、上昇が否定されたといえます。

また、あと3本以内で上昇する、と考えロングしたのに、そうならなかったときも想定が否定されていますので損切りします。想定とは、自分がどのようにトレンド方向へプライスが進むかを考えることです。ですから、想定に正解はありません。

自分が考えたイメージが否定された段階で損切りし、その場面でのトレードは終わります。

4.3. 損切り幅で決定

裁量判断に頼らず、一律に損切り幅を決め、そこにきたら損切りする方法です。

たとえば、マイナス5pipsや10pipsになったらどんな状況でも損切りする、などです。テクニカルで判断するのではなく、あくまでも数字で決めます。チャートと無関係のルールにすることで、そのポジションに対する思い入れをなくし、感情が入り込まないようにするのです。

損切りでやってはいけないことは、大損です。
損切りをちゅうちょしている間にどんどん含み損が拡大し、損切りできずにさらに大きな損をかかえることです。損切り幅を決めておけば、ためらわずに損切りできます。

ただし、チャートと無関係な損切りですから、いつも数字で損切りしていると一貫性のないトレードになるので注意して下さい。エントリーはチャートで行なっているなら、イグジットもチャートを根拠にするのが一貫性のある損切りといえます。ただ、自分で決めたルールで損切りするのは正しいことなので、裁量で判断します。

4.4. 順張りポジションの注意点

3つの損切り方法を述べましたが、共通しているのは逆行したら基本的に損切りするという点です。イメージと異なる値動きをしたら、基本は損切りします。

順張りは、天底でポジションを取ってしまうリスクがあるので注意が必要です。順張りのエントリーは、トレンドの最先端(もしくはその近く)になることが多く、もしエントリーした箇所がトレンド終了の地点だと、反転してトレンド転換し含み損が最大化して目も当てられません。ですから、どんな方法でも逆行したら基本的に切る、というのが順張りの損切りにおいて共通の考え方です。

5.テクニカル分析と組み合わせる例

最後に、トレード例を見ていきます。
順張り手法は、3つのポイントでエントリーすることを思い出してください。

① ブレイクするとき
② 押し目でエントリー
③ 戻りでエントリー

この3つを確度の高いものにするために、主に次のテクニカル分析と組み合わせます。

・サポートライン
・レジスタンスライン
・トレンドライン
・チャネルライン
・値幅観測
・チャートパターン
・三角もち合い
・フィボナッチ
・波動

この記事で、これらの詳しい分析方法を全て書くことができませんが、その一部が「2.期待値を上げるチャート分析」です。順張りポイントとこれらのテクニカル分析を組み合わせると、最強のスキャルピングになります。そのいくつかを紹介します。

5.1. 利幅が取れる箇所の違い

まず、実戦では順張りと逆張りを交互に行なうので、それをしっかりイメージします。上昇トレンドの場合、上がるときに順張りロングを、反落するときに逆張りショートします。下降トレンドは、下げる局面でショートを、反発するときにロングです。

それぞれ、どういうときにエントリーするのかを理解しておきます。

・順張りはオーバーシュート前
・逆張りオーバーシュート後

順張りと逆張りで、利幅が取れる場面が違うことにお気づきでしょうか? 違いを知っておくと、今は順張りが良い、ここは逆張りにしようなど、意識して順張りと逆張りを使い分けできるようになるだけでなく、利幅まで考えたうえでエントリーすることができます。

・順張り → 移動平均線から乖離するときに利幅が取れる
・逆張り → 移動平均線から乖離したときに利幅が取れる

下記は、ポンド/米ドルの1分足です。
Aの手前から下げてきました。Aはゾーン⑤に突入したので、通常通り逆張りロングでエントリーします。ゾーン⑤ですから、移動平均線から一番乖離した状態です。Aの次の陽線は、1分間で17pipsの上昇となりました。このうちの半分でも取れれば充分でしょう。移動平均線から乖離するほど利幅が取れるのが逆張りです。

一方、順張りはトレンドに勢いが出る場面、移動平均線から乖離するときに利幅が取れます。Bは、移動平均線から下降トレンド回帰する場面です。Bから3分間で20pipsの下落となりました。長い陰線が出ていますし、ショートしていれば利が乗るポイントです。

このように、逆張りと順張りで利幅が取れる局面の違いをよく理解しておくと、目線の切り替えがすんなりできるようになるなど、瞬時の判断が可能になってきます。

5.2. 順張りと逆張りの実践

実際にドテン売買をイメージしてみましょう。下記は、豪ドル/円の上昇トレンドです。Aでエンベロープのゾーンに到達していますから逆張りを、押し目の1で反発したらロング回転していきます。

ABCDが、通常の逆張りショートできる場面で、1から8が順張りのポイントです。3までは、上昇トレンドと認識するのは難しいかもしれません。3のあと強い上昇があり、トレンド回帰しているので、遅くとも4あたりから強気で順張りができるでしょう。ロングとショートを何度も回転売買し、利益を上げるイメージをして下さい。8で移動平均線を下抜けているので、トレンドがひとまず終了しトレードは終わりにします。

5.3. チャートパターンとネックライン

次は、チャートパターンを組み合わせます。
下記は、さきほどと同じ豪ドル/円1分足です。高値を安値ができた部分にラインを引き、チャートパターンなど認識します。

チャート分析してわかったことを、ABCDの4つの場面にわけました。それぞれ、次の認識ができます。

A → 三角もち合い
B → チャネルライン
C → 3本押し、N波動
D → ダブルトップ、値幅

こういった認識ができると、期待値が高そうな場面が見えてきます。たとえば、Bのチャネルラインでは安値の切り上げが顕著なので、上抜けるときにブレイクを狙ってロングできます。Cの3本押しから反発したら、トレンド回帰が想定できるので強気でロングするなどです。

このように、移動平均線とエンベロープを表示し、ラインを引いてテクニカル分析することで期待値の高いポイントを探すことができます。こういった分析を、トレンドが発生するたびに行ないます。トレンドは毎回違う形ですから、考える力や分析力が上がります。ぜひ、毎日やってみて下さい。かなりのスキルアップが見込めると思います。

6.まとめ

順張りスキャルピングは、トレンドが発生するたびに行ないます。エントリーからイグジットまで、トレンド方向へ繰り返すので目線が合っていれば面白いほど勝てます。また、トレンドはたくさん発生するので、短期間でスキルアップが可能です。スキャルピングに興味があるなら、試してみる価値はあると思います。

実戦では、逆張り手法も行ないますから、臨機応変に対応する必要があります。細かい知識や着目すべき項目があり、そういった項目や、さらに詳しいテクニカル分析、実際の組み合わせ方は、書籍で書いていますのでお読みいただければ幸いです。

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