前回の続きで、FXをやりつつ、不動産投資を拡大してきたプロセスを見ていきます。今回は、不動産投資の本質的な価値とリスクについて整理します。2回にわたって見てきた「不動産投資を選んだ理由」については、以下の通りです。

 

今回は、7から9について説明します。

7.居住地と投資エリアが一致

不動産投資をするなら、自宅から近い場所にしたいと考えています。理由は、土地勘がある場所にしたいのと、物件を頻繁に見に行きたいからです。管理会社に任せるとはいえ、物件の特徴を把握するには、定期的に見に行く必要があります。何十年も保有しますから、トラブルや賃料変動は必ず出てきます。

また、売却して新たに購入することもあるでしょう。そのときに、物件とその周辺についてよく理解していないと方針が決められません。失敗しないためには、土地勘のある自宅周辺が一番良いのです。

ただし、対象エリアが限定的なので、物件が相当限られてしまいます。この点、自宅周辺には開発が多く、中古物件だけでなく新築も多くあります。新築または築1年以内で表面利回りは4.0%~5.5%程度が多いです。都内ではこのような利回りはなかなかなく、郊外ではありますが、その場所で好立地なら問題ありません。

23区内でなくても、23区に隣接していれば千葉、埼玉、神奈川のどの県でも投資対象になります。下記の地図の赤い箇所が、23区に隣接している場所です。『この道路を渡ると23区に行ける』、多摩川や江戸川のように『川があっても橋を渡れば23区に行ける』場所なら、人口動向や利便性で大きく不利になることはないと考えています。

私の居住地は23区と隣接しており、そういった投資対象エリアに住んでいます。土地勘があり、さらに投資向きのエリアとなれば、あとは売りに出ている物件を探すだけです。2050年まで人口はほとんど減らないエリアなので、人口減少はあまり心配していません。人口動向や利便性などはそもそもクリアしていますから、初めからターゲットが絞れていたのです。

もし23区内の都心エリアに住んでいて、郊外を知らないとなると、23区に隣接しているとはいえ田舎に感じるでしょう。そうすると、購入に踏み切れません。逆に、地方の田舎に住んでいたら、23区は高くて買えず、隣接した地域の土地勘もありませんから購入に踏み切れないでしょう。

その意味で、利回り4.5%から5.5%程度の郊外エリアに住んでいることが、そもそも優位性があったと思います。

8.実物資産を所有する満足感

FXや株で何億円勝ったとしても、現金が増えるだけです。もちろんお金が増えるのはこの上ない喜びです。しかし、トレードの世界は、実体がありません。人の目が届かないところでお金が動いているだけで、物が売買されるわけではありません。

トレードは自分の頭や心の中だけで完結するものであり、他人から見てこの人はトレードで勝っているとか、億を超える利益を出しているなど全く見えないです。

あくまでも自論ですが、投資においては、実体がないと承認欲求や所有欲は満たせません。そうすると、目に見える高級車や時計などの物を買い、タワマンに住んだり、高級レストランに行くなど目に見える贅沢をするようになります。つまり、実体があり目に見える物を手にすることで、自分自身も他人からも、勝ちトレーダーと認識されるようになります。そして、それをSNSでアップし、より多くの人に見てもらうことで承認欲求が満たせるのです。

一方、不動産は、土地と建物という実物が存在しており、誰もが目にします。実体がわからないトレードの世界とは正反対で、常に人の目にさらされていると言えます。不動産を持っているだけで所有欲が満たせ、人に見られているため承認欲求も満たせます。土地と建物を見れば、何も語らなくてもその人の資産背景がわかるのです。

その土地で好立地の土地と建物を所有していれば、それだけで欲を満たせます。それが何棟もあれば言うことはありません。

その意味では、先祖代々の地主が地味であることが理解できます。『広大な土地と建物は誰々さんのもの』と見て分かります。傍から見ると資産家と認識されているからこそ、生活を質素に見せて、『妬み』や『反感』がわかないようにしているのでしょう。資産家で派手な生活をしていれば、やっかみを生むことになります。

9.資本を働かせる側になれる

不動産オーナーは、資本主義社会の所有者側に立つ存在です。土地や建物といった資産を保有し、それを貸し出すことで継続的な収益を得られます。時間が経つほどに借入が減っていき、さらに家賃という「権利収入」が積み上がります。

こういった『資本を働かせる』ことで利益を得る、いわば資本主義における所有者側の存在ではないでしょうか。これは、ビジネスオーナーや知的財産の所有者など、時間を切り売りせずに収入を得るモデルと同じです。

一方で、FXトレーダーはどれほど高収益を上げたとしても、その実体は『自らの労働』によって収入を得る労働依存の収入モデルです。トレードをやめれば収入は止まり、常にトレードする必要があります。資本が自動的に働くわけではなく、時間と精神を消耗する仕事であるともいえます(あくまでも仕組みの話です)。

また、ひとたび土地を手に入れると、その土地が価値を維持する限り収益を生みます。10年や20年といった短期ではなく100年、200年と収益を生み続けるでしょう。評価額の増減はあるかもしれませんが、23区に隣接しており、駅近くなら価値がゼロになることはありません。その時代にあった建物を建てて貸付をすれば、少なくとも自分が生きている間は収益を生みます。

同じお金を稼ぐ行為でも、不動産オーナーとFXトレーダーでは、その構造はまったく異なります。資本主義の本質を理解するうえで、この違いは非常に大きいと思います。

トレードで儲けた時に不動産を買っておけば、トレードで少しくらい負けても生活はできます。それが長く相場に残ることにつながるのです。この先もFXを続けたいからこそ、安定した収入源を確保しておくことが大切だと思います。

※次回は、不動産投資の精神作用と金利について見ていきます。