チャート分析 PR

2種類のふるい落とし

ふるい落としは、ヘッジファンドが使う手口です。上昇トレンドのとき、一時的に大量の売りを出し、少しの下げに耐えられない投資家のロングポジションを損切りさせ、下落したところでヘッジファンドが買いを入れます。ヘッジファンドは、結果的に売り浴びせる前より安い価格で買い増しできるというわけです(下降トレンドは逆に読み替えてください)。

これを繰り返し、利益をどんどん乗せていく手口です。

ふるい落としは、いつどのような形で行なわれるのか、知ることができません。規模の大小も様々で、行なわれた後も知る由はないでしょう。ただ、直近の介入相場で目立った2つのふるい落としがあったので、見てみます。

①一瞬の急落でふるい落とす

下記は、ドル円1分足です。
介入前後の相場で、数秒から数十秒にわたり、突然急落する場面が何度もありました。AやBのような場面です。急落してもすぐに買いが入るため、1分足で下ヒゲになります。短い下ヒゲでも30pips~50pips、長いものだと100pipsをこえるヒゲもあります。また、数分で200pipsとか下落することもありました。

急落しても、仕掛けたヘッジファンドが下で買うため、必ず下ヒゲになるのが特徴です。また、急落する前の価格よりも上昇していきます。こういった急落は、2022年の介入前後のドル円でも見られました。介入もどきと言われ、介入と勘違いして下げた瞬間に売りを入れると、ヘッジファンドの餌食になります。ロングを損切りする売り、新規の売りが入るので、ヘッジファンドは大量の買いを入れることができたのでしょう。

ただ、手荒な手口であり、明らかにふるい落としと分かってしまうので、普段の相場では見られません。ある通貨が、今の円のように投機対象になり遊ばれている時期や、介入が意識される時以外は、ほぼ見られないでしょう。

②時間をかけてふるい落とす

一瞬の急落は、すぐにふるい落としと分かってしまいます。手口がばれてしまうので、①はあまりやりたくないと思われます。そこで、ふるい落としと分からないように、時間をかけて行なうのが②です。

下記はドル円5分足です。
先週の介入後、戻り高値から1日で350pipsも下げました。ここはヘッジファンドのふるい落としだと思っているのですが、注目すべきは下げ方です。急落するのではなく、時間をかけてじりじりと下げているのが特徴です。

介入のように急落すると、下で買う投資家がいるので、反発も大きいものです。①のような瞬間的なふるい落としもできますが、下げ幅が限定されます。確かに、ヘッジファンドは①のようなふるい落としをすれば下で買うことはできますが、規模が小さいのです。また、値動きが早すぎて買いそびれる可能性もあり、リスクもあります。

そこで、大きなふるい落としをしたいときは、分からないように断続的に売りを入れていくのでしょう。弱小の投資家は、そろそろ上がるかもと買いを入れても損切りとなり、じりじりと下げていきます。ふるい落としと分かりにくいのが特徴でしょうか。時間がたつと、通常の押し目であり、チャートが形成されたとわかります。

今回は介入後ということもあり、1日で350pipsのじり下げと値幅が大きかったです。普段は、規模が小さいこのようなじり下げが、至る所で行なわれていると思います。ですから、日常のトレードでは、①の急落よりも②を意識すれば良いでしょう。②は押し目になりますから、下がったところで買えば、トレンドフォローができます。

トレンドが継続する限り、ふるい落としは行なわれます。そうじゃないと、押し目無く上昇することになり、トレンドが大きなものにならないからです。トレンドは、押し目があるからさらに上昇していくものです。ヘッジファンドが全ての相場を作っているのではありませんが、ふるい落としと押し目の関係を知っておくと、より深いチャート分析ができると思います。