トレードでは、「期待値が高いところでエントリーすべし」と言われます。しかし、FXでは、何をもって期待値が高いとか低いと言えるのでしょうか。そもそも期待値とは何かを理解しなければなりません。
期待値とは、「確率的にこうなりやすい」という概念です。平均的に期待されることで、数値で表すことができればわかりやすいです。ただ、FXでは、過去の期待値を正確に数値にすることは不可能ですし、それは過去の統計であり、未来の値動きを当てることにはなりません。また、期待値が極めて高いのか、少しだけ高いのかといった割合の問題もあります。同じチャートでも、ある人から見たら期待値は少し高い、別の人から極めて高い、となったりします。
このように、FXで使う期待値はとても曖昧です。
そこで、自分だけの期待値の使い方を考えます。極端にいえば、期待値の定義がどうとか関係なく、期待値の認識が世間とズレていようが、自分がトレードで勝てさえすれば良いですよね。自分なりに認識し、それをトレードで生かせれば、「正しい期待値の使い方」になるのです。
わたしが考える期待値は次の2つです。
①視覚的なテクニカル
②勝率ではなく損益率

①視覚で判断できるテクニカルに絞る
一般的な投資の期待値は、リターンが得られる可能性が高いことを言います。期待値がプラスなら、平均的に利益を得られる可能性があります。FXの分析は、ファンダメンタルとテクニカルに大別されますから、ファンダメンタル的に期待値が高いのか、テクニカル的に高いのかを分けると良さそうですね。
ファンダメンタルで期待値を算出するのはおそらく無理でしょう。さまざまな政治経済の情勢を総合的に分析した結果、ドル円のロングは期待値が高いと言っても、情報は目に見えないので全くあてになりません。そこで、視覚的に判断できるチャートに絞ると良いでしょう。チャートは、誰が見ても同じもので差がないからです。
チャート上で期待値が高いポイントでトレードする、ということになります。
②勝率ではなく損益率が良いところ
では、チャート上で期待値が高いところはどこか? ということになります。勝てる確率が高いことを意味しますから、勝率が高くなるトレードがイメージしやすいです。しかし、勝率が高いポイントを見つけるのは不可能かと思います。なぜなら、為替市場は不確実性が極めて高いからです。どんなに鉄板のチャートパターンが出ようが、それはあくまでも自分が考えていることであり、必ず通用するテクニカルはありません。
もし勝率が高いパターンがあると、全員が勝てることになるからです。それはあり得ませんね。ですから、勝率を上げることはできないのです。少しくらいはできたとしても、相場が変わると全くあてにならなくなります。つまり、刻々と変化する為替市場で、勝率の期待値は機能しません。
そこで重要になるのが『損益率』です。
損益率は、利幅と損切り幅の割合のことで、リスクリワード比率とも言いますね。利幅50pips、損切り幅25pipsなら損益率は2です。損切り幅50pipsなら1ということです。トレードでは、この損益率を良くすることが極めて重要になります。前述のとおり、不確実性の高い為替市場で勝率を上げることには限界がありますが、損益率をよくすることは可能です。
なぜなら、エントリー前に利幅と損切り幅をある程度決めておくことができるからです。そして、損益率が良さそうなところでトレードすることが、期待値の高いトレードと言えます。
たとえば、次のチャートは3日前に書いたドル円です。Aでエントリーしましたが、144.00円を下抜けたら損切り、144.80円あたりで利食いと決めてからエントリーしました。損益率は1くらいです。損益率は、エントリー前に決めておくことができるのです。もう少しいい所で入るのが理想ですが、今回は損益率を考えてからエントリーするということでご理解ください。

チャート的には上がりそう(ただし、実際に勝てるかわからないため勝率は計算できない)、という場面で、さらに損益率が良さそうなところでエントリーするのが期待値が高いということです。
どれくらいの勝率と損益率が良いかは、バルサラの破産確率表で確認して下さい。個人的には、勝率50%~60%で、損益率2以上が理想と考えています。そうすれば、破産確率はゼロに近くなります。実際には、勝率も損益率も毎日大きくブレますが、基準を持っておくことに意義があるのです。利益が残る日は、勝率か損益率が良いということです。勝率も損益率も良い日は、利益の出し方に余裕があります。
利幅を少なく、損切り幅を極端に広くすれば、勝率を上げることは簡単です。ただ、負けられないトレードばかりになるので、わたしはプレッシャーになり無駄なトレードも増えて上手くいきません。それよりも、このチャートで負けたら仕方ないと思えるところでエントリーし、利幅が伸びるのを観察し、損益率を意識するようにしています。
【まとめ】
期待値が高いトレードは、①テクニカル的に、②良い損益率が取れるところです。あとはタイミングが重要です。もうトレンドが出てしまって遅かったり、時間帯や経済指標前など、タイミングが合わないことも多いです。
目先のトレードにとらわれず、期待値が高そうなここぞという場面を待つようにしましょう。
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