前回は、MACDのダイバージェンスを紹介しました。
インジケーターは、見方によっては役に立ちますが、よく考えて使わないと逆のシグナルばかり発生します。いわゆる、「諸刃の剣」のようなツールです。
インジケーターを使うとき、何も考えずに使うのではなく、そのインジケーターの計算式を理解しておきましょう。難しい計算式のインジケーターもあるので、仕組みを知っていれば問題ないと思います。なぜMACDがそのシグナルを発生するのか、なぜそこがエントリーポイントになるか、自分で考えてみることが大切です。
MACDは、なぜダイバージェンスが起きるのでしょうか。
MACDの計算式を知っていれば、すぐに理解できます。計算式はとても簡単です。MACDは移動平均線が構成要素で、グラフ(ヒストグラムといいます)は12EMA-26EMAです。次のチャートで確認してください。赤いライン(シグナル線といいます)は、9SMAです。
メインのヒストグラムは、動平均線どうしの乖離幅をグラフにしています。12EMA-26EMAですから、上昇トレンドの場合、上げ幅が小さくなると、たとえ上昇していてダイバージェンスは起こります。また、深い押し目のあとに1本のローソク足のみ急騰した場合も、プライスは高値更新していてもヒストグラムは高値を更新せずダイバージェンスになります。
また、次のチャートのように、比較する山が遠すぎると意味がありません。ダイバージェンスは、同じ波の中で比較するから勢いの変化が分かるのであり、違う場面で比較しても的外れになってしまいます。特に、長い時間軸で使う場合は、比較する山が数日や数週間離れているので注意が必要です。昨日と今日では、相場に雰囲気がコロッと変わるのはよくあります。そうなると、違う流れで比較することになります。
MACDのダイバージェンスに限らず、インジケーターの使い方にはメリットでデメリットがありますから、それを理解したうえで他のテクニカル分析を組み合わせるようにします。私の場合は、「ローソク足・移動平均線・ライン」の3つをチャート分析の基本にしています。この3つで判断し、さらに確度を上げるために、MACDなどのインジケーターやストップロスなど、他の情報を組み合わせます。
スキャルピングではエンベロープを使いますが、エンベロープは参考程度にすぎません。エンベロープでシグナルが出たからといって、全てエントリーしません。むしろ、エンベロープだけでトレードの判断をすることはあまりないです。「最初からインジケーターありき」ではなく、「どこからトレンドが発生するのか」「どこでトレンドが終了するのか」をチャートで確認してからインジケーターを見るようにしています。
インジケーター任せではなく、自分でチャートを見てラインを引き、そのうえで考えることが大切です。考える癖をつけるようにしましょう。