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FXのトレンドラインとは?種類と引き方のコツを詳しく解説

トレンドラインは、ローソク足の高値どうし、安値どうしを引く斜めのラインです。トレンドラインを引くと、相場の「傾向」がわかるようになります。なぜかというと、相場は斜めに進むからです。斜めに進むならラインも斜めに引く。これがトレンドラインの原点です。

そして、価格がトレンドラインにぶつかると、売買が急増して相場の流れが変わることがあります。そのため、トレードではとても重要な分析ツールです。トレンドラインを引くことで、このような相場の傾向と転換点がわかり、「売り」「買い」の判断がしやすくなります。

スキャルピングからスイングトレードまで、どんなスタイルでも使えるシンプルな分析ツールです。引き方や具体的な使い方を説明しますので、トレンドラインをぜひ知っておいてください。

1. トレンドラインは斜めに引く

トレンドラインの前に、「トレンドとは何か」を理解しておきましょう。

FXでいうトレンドは、「価格の方向性」「相場の流れ」のことです。

上昇傾向なら上昇トレンド、下降傾向なら下降トレンドと言います。トレードするには、まずトレンドをつかむことが大切です。しかし、相場はせわしなく動いており、パッと見ただけでトレンドをつかむのは難しいです。そこで、チャート上に斜めのトレンドラインを引くと、驚くほどトレンドをつかみやすくなります。

1.1. トレンドラインは2種類

トレンドラインは、斜めに引くので次の2種類あります。 

・上昇トレンドライン
・下降トレンドライン

下図を見てください。

相場は上下動しながらジグザグに進みます。そうすると、ところどころに山と谷ができます。トレンドラインの引き方は、この山の頂点(高値)、もしくは谷の底(安値)を結ぶのが基本です。

チャート左側の高値どうしを結んだラインが「下降トレンドライン」、右側の安値同士を結んだラインが「上昇トレンドライン」です。丸印のポイントである主だった山(高値)と谷(安値)を、線で結んでいることに注目してください。

トレンドラインを引くと、トレンドの継続期間がすぐに分かります。また、トレンドラインにぶつかっている回数やラインの角度から、そのトレンドの勢いも一目瞭然です。まずは、チャートを開いたらトレンドラインを引くといいでしょう。ラインを引くと、現在の相場の流れをすぐに把握することが可能です。 

1.2. 3つの相場の流れを把握すること

トレンドラインは2種類(上昇トレンドライン、下降トレンドライン)ですが、相場の流れには次の3種類があります。

① 上昇トレンド
② 下降トレンド
③ 横ばい(=レンジ)

下図を見てください。

チャートを開いたときに、この3つのうち、今がどの環境なのか把握できればOKです。トレンドラインは、そのために引くものです。

相場には、トレンドとレンジしかありません。そして、トレンドには上昇トレンドと下降トレンドがある、ということです。今がトレンドなのか、それともレンジなのか、こう考えるだけで楽になりませんか? チャートを見てトレンドラインを引き、どちらか判断するだけでいいのです。まず、これがトレンドラインの基本です。

1.3. トレンドには3種類ある

トレンドには、「トレンドの強さ」と「トレンドの期間(=長さ)」があります。

トレンドの強さは、トレンドラインの角度で測ることができます。急角度ほど強いトレンドですが、見ているチャートの縮尺によって角度は異なります。そのため、一概に角度だけでトレンドの強さは判断できません。自分が使っているチャートの表示次第でいかようにでも角度は解釈できてしまうので、注意してください。

トレンドの期間は、トレンドラインの長さで測ることができます。どれ位そのトレンドが継続しているか、ということです。1年以上続くトレンドもあれば、数時間単位のトレンドもあります。往々にして、トレンドには次の3つで認識されます。

・短期トレンド(日単位)
・中期トレンド(週~月単位)
・長期トレンド(年単位)

ただし、見ているチャート上の時間軸により、期間の捉え方は変わってきます。

たとえば、5分足を見ている場合、さすがに年単位の長期トレンドを把握できるはずありませんね。5分足で把握できる長期トレンドは、数日が限界ではないでしょうか。

このように、使うチャートの時間軸によって長期・中期・短期の意味合いが異なるので、「長期=年単位」などと結びつけないようにしてください。トレンドの種類は3つであることは確かですが、あくまでも、自分が使う時間軸で3つを判断してください。見ている時間軸で、「長期的には上昇しているな」「3時間ほど短期トレンドが出ている」などと把握できればいいでしょう。

相場には、トレンドとレンジがある。
トレンドラインを引き、上昇トレンド、下降トレンド、レンジを把握しよう。

2. トレンドラインを引くコツ

トレンドラインは、ローソク足の高値や安値どうしを引きますね。ただし、いきなり引こうとしても、ビギナーの方は、どのように引けばいいか分からないと思います。そこで、引き方のコツを4つに分けて紹介します。

1. ヒゲか実体か迷ったとき
2. 移動平均線に沿ったラインがベスト
3. 起点が同じ3本
4. 起点が違う3本

2.1. ヒゲか実体か迷ったとき

トレンドラインを引くとき、最初の迷うことがあります。それは、ローソク足のヒゲに合わせるか、それとも実体に合わせて引くのかどうかです。ヒゲと実体を知らない方は、下図のローソク足を参考にしてください。

たとえば、陽線のトレンドラインを引くとき、下ヒゲの一番下(安値)を起点にするのか、それとも実体の一番下(始値)に合わせるのか、ということです。

実際に、チャートで見ていきましょう。
下図は、ユーロ/米ドルのチャートです。

上昇トレンドが発生しているので、上昇トレンドラインを引くことができます。誰が引いても同じラインになればいいのですが、トレーダーごとに引き方は異なります。ここでは2本の上昇トレンドラインを引きました。ラインの始点は同じですが、2つ目の起点(Aの部分)が異なります。

①は実体に合わせ、②はヒゲに合わせました。

このように、トレンドラインは、ヒゲに合わせる方法と、実体に合わせるやり方があります。どちらが正解というものではなく、どちらでもOKです。どちらでもいいとなると、迷ってしまいますね。そこで、「トレンドラインは絶対に実体(もしくはヒゲ)に合わせる」と決めるのではなく、どちらも引くようにするのがおすすめです。

ただ、そうするとトレンドラインが何本にもなるので、結局迷ってしまいます。

そこで、引く順番を決めると良いでしょう。
私は、最初に実体と実体を結んで引くようにしています。そうすると、ラインが、ヒゲとヒゲを結んだときよりもチャートの内側になるので、ローソク足と近くなり、見やすいです。また、ヒゲの場合は、チャートによってヒゲの長さが異なる場合もあるからです。

たとえば、経済指標で一時的にスプレッドが拡大し、一瞬だけ急落して長い下ヒゲになったとします。業者によっては、そのときつけたプライスが大きく異なる場合があり、そうなるとローソク足のヒゲの長さがチャートによって変わってきますね。これでトレンドラインを引くと、使う業者によってトレンドラインの角度が全然違ってきます。

一方、始値(終値)はそこまで業者間で異なることはないので、どのチャートソフトを使っても同じようなトレンドラインになります。ですから、実体を起点に引けば、とりあえずは問題ないでしょう。実体と実体を結んでから、次にヒゲに合わせるなどして調整していきます。

ただし、実体に合わせたトレンドラインが正解ではありません。ヒゲが意識されることもあります。重要なことは、引く順番を決めて自分なりの基本を作ることです。私は実体と実体から引き、次にヒゲに合わせるようにします。そうすると、長いヒゲがあるときなど、より注意深く観察できるようになります。

実際にトレードするときのコツは、トレンドラインだけで判断するのではなく、水平ラインも一緒に引くようにしましょう。下図を見てください。 

トレンドラインだけだと、ヒゲか実体か合わせ方によってラインの角度が変わります。そのため、トレンドラインだけでエントリーポイントを見つけようとしても、迷いが生じるばかりです。しかし、水平ラインを引くと、トレンドラインと交わる箇所が出てきます(上図の矢印部分)。2つのラインが交わる箇所が機能することが多いので、実践ではトレンドラインだけでなく、水平ラインも組み合わせて判断するのがコツです(詳しくは後述します)。

2.1. 移動平均線に沿ったラインがベスト

移動平均線は、ローソク足終値の平均を、ラインで表示するインジケーターです。下図は、3本の移動平均線を表示しています。トレンドラインには3種類(短期・中期・長期)あると述べましたが、それと同様に、3種類の移動平均線を出すのがおすすめです。

移動平均線は、ローソク足と同じ動きをします。価格が上昇すれば、移動平均線も上昇しますね。ですから、トレンドラインを引こうとすると、移動平均線と同じ傾きになります。そこで、移動平均線に沿ってトレンドラインを引くようにすると、簡単にトレンドラインが引けます。特に、長期の200EMAに合わせると、大局をつかむことができます。下図を見てください。

200EMAと同じ角度のトレンドラインを引きました。安値どうしを結ぼうとすると、ヒゲか実体のどちらを結ぼうか迷いますが、200EMAに沿って引くと、そのような迷いもありません。200EMAに沿ってトレンドラインを引き、それをローソク足に当てるように移動すれば簡単に引けます。

トレンドラインを引く目的は、トレンドの流れを把握することです。移動平均線に沿って引けば、少なくとも、流れをつかむことはできます。ローソク足の高値や安値ばかり見るのではなく、移動平均線をパッと見てトレンドラインを引いてみるのもおすすめです。チャートを開いてすぐに引けるので、ぜひ試してみてください。

2.3. 起点が同じ3本

続いて、トレンドラインの種類について見ていきます。

トレンドラインは、トレンドが発生すると引くことができます。安値を結びますから、トレンドラインは1本しか引けないと考えるかもしれません。しかし、そのトレンドが終了するまでに、角度の違うトレンドラインが3本引けることがあります。

下図を見てください。

①②③と角度が異なるトレンドラインが3本あります。安値どうしを結んだ①のトレンドラインが引けるのは当然ですね。

そして、トレンドは突然転換するのではなく、トレンド後に高値圏(もしくは安値圏)で上下にもみ合いとなったあと、トレンド転換します。上昇トレンドからいきなり下降トレンドになるわけではありません。「上昇トレンド→レンジ→下降トレンド」の順番です。①のトレンドラインにのって上昇トレンドが発生したあと、レンジに移行するときに②が引けるイメージです。そして、いよいよ上昇トレンドが終了するとき、③を下抜けると考えてください。

このように、トレンドが発生してから終了するまでに、角度の違う3本のトレンドラインが引けます。トレンドラインの起点は全て同じで、トレンドが発生したAです。①のトレンドラインを下抜けからといって、トレンドが終了するわけではないと分かりますね。次に②の角度があり、これも下抜けると最後の③があるイメージです。3つの支持帯で反発できないと、トレンドが終了するイメージです。

下図では、上昇トレンドのあとに高値圏でもみ合い、レンジに移行したことがわかります。「上昇トレンド→レンジ→下降トレンド」の流れがよくわかります。

なお、今回は、①②③と全て下抜けて上昇トレンドが終わっています。違う場面では、①で下抜けても②のトレンドラインで反発し、上昇トレンドライン回帰するかもしれません。また、①②と下抜けても3本目の角度で急反発して上昇トレンド回帰する場合もあるでしょう。ですから、①を下抜けても②が待っていて、②を下抜けても最後の③があります。3つの壁を破り、ようやく上昇トレンドが終了するのです。

この引き方は、トレンドが比較的強く、トレンドの波が最初から最後まで同じときに引けます。今回は、Aから強いトレンドが発生し、勢いを緩めることなく上昇していきました。トレンドが発生したときは、①の角度しか引けませんが、先を見越して②や③の緩い角度のトレンドラインも引いておくといいでしょう。

2.4. 起点が違う3本

次は、起点が違う3本のトレンドラインです。

一つ前(起点が同じ3本の引き方)と、よく比較してください。下図は、下降トレンドが発生しています。①②③の3本の下降トレンドラインに注目してください。

一つ前の引き方は、同じ起点から角度の違う3本のラインでした。今回は、3本とも起点が違います。この場合、緩やかなトレンドのときに引けることが多いです。緩やかだとしても、高値をしっかりと切り下げていて、トレンドが継続します。

そして、③のように、どこかで安値を大きく切り下げてきます。トレンドの出始めはゆっくりで、後半にかけてトレンドを強めていく場合に引けます。トレンドの波が途中で変わるため、起点およびラインの角度が違ってくるのです。トレンドの勢いが途中で強まったり、弱まったりするときに引けます。

一つ前の引き方(トレンドの勢いが同じ場合)と合わせて覚えておきましょう。トレンドが発生したとき、どちらが引けるかはわかりませんが、知識の引き出しにしまっておけば準備ができますね。知っているかどうかが重要です。

これで、トレンドラインの引き方のコツが少しはわかりました? 知っておくだけでも、トレンドラインを引くのがすごく楽になります。

3. トレンドラインが重要な理由

相場の流れを把握するために、トレンドラインが有効であることが分かりました。

なぜ重要なのか、もっと掘り下げていきます。相場の仕組みを知ると、トレンドラインの重要性がより理解できますので、詳しく見ていきましょう。 

3.1. 相場は斜めにジグザグに進むから

 相場は、トレンドとレンジがありましたね。トレンドが発生したとき、ローソク足がどんな動き方をするのか、考えたことはありますか? ローソク足は、高値と安値を少しずつ切り上げ(切り下げ)て進むのが普通です。斜めに、そしてジグザグになるのです。下図の上昇トレンドを見てください。

一方向へ進み続けることはなく、高値更新して高値を切り上げます。そして、一時的に反落しますが、安値を大きく切り下げることはなく、直近の安値を大きく下回ることはありません。この値動きが連続すると、ジグザグになります。ローソク足が直角になっている箇所はありませんね。価格は急騰や急落するのではなく、徐々に上げ下げするので相場は斜めに進みます。

大急騰や大暴落がたまにありますが、それは例外として、通常トレンドは斜めに、そしてジグザグに進みます。 

3.2. 高値と安値の切り上げ(切り下げ)

上述したように、上昇トレンドでは、安値を切り上げていきます(下降トレンドの場合は切り下げる)。ただ、切り上げるとわかっていても、チャートでしっかり確認できなければ、知識を活用したことにはなりません。

下図のように、ラインを引くなどして高値を切り上げているプロセスを視覚的に捉えるといいです。

安値にラインを引くと、同じ価格帯で何度も反発しているとわかります。上昇トレンドのときは、安値を切り上げますから、これ以上は下げないという価格帯が存在します。「ココを下抜けると上昇トレンドが否定される」という箇所があり、そこで売買が交錯します。反発すれば、買い圧力の勝ちですから、さらに上昇トレンドを加速させるとイメージできますね。

このように、上昇トレンドではラインを引いて、どこで安値を切り上げているのか認識しましょう。

また、安値を切り上げるということは、安値が形成されなければなりません。そのためには、上げるだけでなく、一時的な下げも必要になります。上昇トレンドだからといって、上げばかりに気を取られるのではなく、安値を作るために一時的に下げがある、と理解してください。一時的に下げがあると、それが安値(押し目)になります。この下げは、大きな下げではなく、押し目を作るための下げなので、小さな下げになります。安値を切り上げていくのですから、前回の安値を下回ることはありません。

「上昇→小さな下げ→再上昇」の繰り返しが、一連の上昇トレンドになります。このプロセスを「N波動」といい、トレンドが続く限り、N波動がいくつも形成されます。下図を見てください。

上昇しても一時的な下げがあり、再び上昇トレンド回帰していきます。このプロセスをなぞると、Nの字になっていますね。「トレンドはNの字が連続してできる」と認識してください。

そして、N波動が続くと、安値の切り上げがあらわになるので、トレンドラインが引けるのです。

最初からトレンドラインを引くと、ただ「ラインを引く」という意味のない作業になりかねません。何のために引くのか、目的がよく分からないのではないでしょうか。しかし、相場の仕組みを理解したうえでトレンドラインが引けるようになると、チャートから多くの情報を読み取れるようになります。

たとえば、上昇トレンドラインが引けるということは、安値を切り上げていますから、どこかに何度も反発している価格帯が存在します。そこを見つけ、反発したときが何時なのか調べて下位足でさらに細かいラインを引くなど、ポイントを絞って分析ができます。それがエントリーにつながるなど、ライン1本から多くの情報を引き出せるでしょう。ただラインを引くだけだと、そこまでやろうとは思えないはずです。ですから、相場の仕組みを知ることが、「使えるトレンドライン」を引くために必要なのです。

また、トレンドラインを引くと、それまで気付かなかったことが分かるかもしれません。見落としていた水平ラインや押し目など、トレンドラインを引くことでわかることもあるでしょう。

特に、移動平均線に沿ってトレンドラインを引けば、角度や長さなどから、そのトレンドの流れが分かります。まずは大きな流れを捉え、それから細かい分析をしていくためにも、トレンドラインは重要です。

3.3. トレンドラインでできること

トレンドラインが引けるということは、チャートに山と谷があるはずです。それが高値や安値になり、売り買いが交錯するポイントになります。買い勢力からすると、押し目ができたときに、それ以上は下げてほしくありません。一方、売り勢力は、押し目ができたときにさらに売り浴びせて反発させたくないでしょう。

理由はどうであれ、ローソク足とトレンドラインがぶつかった箇所では、売買が交錯し、その後の方向性がはっきりすることが多いです。

下図を見てください。

Aでトレンドラインにぶつかりました。これだけでは、この後どちらに進むか分かりません。しかし、売買が入り混じって売りと買いの勢力争いが行なわれるポイントです。ですから、上なら上へトレンド回帰しやすく、下なら上昇トレンドが終了するというように、方向性が決まりやすいのです。

結果は、下図のように上昇トレンド回帰していきました。Aにぶつかっただけでは、上昇するとはわかりませんが、Aで反発したときに、方向性が出やすいポイントですから、「もしかしたらトレンド回帰するかも」という準備ができます。

トレンドラインを引いただけでは、その後の流れまではわかりません。しかし、「方向性が出やすいポイントに差し掛かった」というだけでも、トレードしやすくなります。そこから上昇するならどうなるか、下ならどんな展開か、というように先のことをイメージしやすくなるのです。他のテクニカル分析と組み合わせ、徐々にエントリーポイントを絞っていける箇所です。

方向性が出やすいポイントは、相場の流れが変わる場面です。まずは、それを把握することが何よりも大切です。方向性が出にくいポイントでは、いくらチャート分析しても情報を引き出すことはできません。これでは骨折り損ですから、方向性が出やすいポイントを見つけ、そこでトレードすることが重要です。トレンドラインは、このような方向性がでやすいポイントを見つけることができるのです。 

4. トレンドラインのブレイクとは

トレンドラインのブレイクとは、価格(=ローソク足)がトレンドラインを突き抜けることです。トレンドラインは、2つ以上の起点があれば引けますね。3回4回と、価格が何度もトレンドラインにタッチして反転するほど、そのラインがうまく機能しています。

しかし、永遠に機能することはなく、そのうち役目を終了します。

4.1. トレンドラインはいずれ抜ける

トレンドラインが役目を終了してブレイクする局面が、下図Aのポイントです。

このように、トレンドラインはいつかブレイクします。

しかし、ブレイクしたからといって、そのトレンドが終了したことにはならないので、注意してください。Aでトレンドラインを下抜けましたから、上昇トレンドが終了すると思ってしまいます。しかし、前述した3本のトレンドラインが引けるように、1本目をブレイクしても、そのあとは違う角度のトレンドラインが引けるかもしれません。引いたトレンドラインをブレイクしたときに、トレンドが終了したのか、それとも違う角度のトレンドラインにバトンタッチするのか、もしくはレンジに移行するのかなど、いくつかのパターンを考えましょう。

トレンドラインはいつかブレイクすることと、ブレイクしてもトレンドが終わるとは限らないので注意してください。

4.2. ライン1本でトレードしないこと

トレンドラインが引けるようになり、価格がトレンドラインに近付くと、そのトレンドラインだけでトレード判断したくなります。「トレンドラインにぶつかったら買い」のようなことです。せっかく引いたラインで試したくなる気持ちはわかります。

しかし、トレンドライン1本だけで、エントリー判断をするのは危険です。なぜかというと、斜めのラインは、起点の取り方に正解がないため(実体かヒゲか)、引き方によって角度が異なるからです。あるトレーダーは、価格がトレンドラインにタッチしたように見えても、他のトレーダーはまだタッチしていないかもしれません。

また、エントリー根拠が1つだけでは、期待値の高いトレードになりません。根拠は1つより2つ、2つより3つというように、多くなるほど期待値が高くなります。テクニカル分析をいくつも組み合わせるようにしましょう。根拠の数が多い方が一貫性のあるトレードができます。

たとえば、ラインでトレードするなら、斜めのラインと水平ラインの2種類を組み合わせるのがおすすめなのは、前述のとおりです。下図を見てください。

斜め(トレンドライン)と横(水平ライン)のラインを引いています。

1つのラインだけでトレードするのではなく、2つの根拠が交わるポイントの方が、期待値は高いです。Aは、トレンドラインと水平ライン①が交わるポイントです。トレンドラインにぶつかるときは、売買が交錯しますね。水平ラインにぶつかったときも、同じように売りと買いの圧力が戦うので、売買が急増します。つまり、トレンドラインと水平ラインが重なるポイントは、売買が活発になり方向性が明確になりやすいです。結果、その後の方向性が明確になりやすいということです。

そのため、Aで反発したなら上昇トレンド回帰しやすくなり、逆にAを下抜けると、一気に売りが優勢になり下げやすくなります。

このように、1本のラインで判断するより、2つのラインが交わるポイントを見つけるのがコツです。1本のラインだと、ローソク足とラインがぶつかる箇所が無数にあり、期待値の高いポイントはわかりません。しかし、斜めと横のラインの2つが交わるポイントはそう多くないため、ポイントを絞ってトレードすることができます。

5. トレンドラインを引く練習

トレンドラインに正解はないので、最初は、自信がないためか引いたラインに意味がないように感じると思います。引いてみたものの、機能するように思えないのです。そんなときは、トレンドラインを引く目的を思い出してください。

トレンドラインを引く最初の目的は、トレードポイントを見つけるのではなく、相場の流れを把握するためです。決して、エントリーするために引くのではありません。いきなりエントリーするラインを引こうとするから、いっきに難易度が上がってしまうのです。チャートを開き、たった1本のラインで勝てるポイントをあぶりだすのは、私もできません。ですから、エントリーするためではなく、流れを把握するために、気軽に引くようにしましょう。

引くときのコツは、ローソク足の高値や安値を結ぶのではなく、移動平均線に合わせると引きやすい点については上述しました。200EMA(長期移動平均線)だけでなく、引く練習をするときは、25EMA(短期移動平均線)や75EMA(中期移動平均線)にも沿って引くと、簡単に引けます。

実際に見てみましょう。下図は、25EMA(黄色の移動平均線)に沿ってラインを引いています。

下降トレンドなので、本来、高値側に引くのがトレンドラインです。25EMAに沿って引いていますから、きれいに高値を結んでいるわけではありません。しかし、短期的な流れはラインでわかりますよね。25EMAがまっすぐの箇所になぞるだけです。

同じように、75EMAも沿って引いてみます。

75EMAは中期の移動平均線なので、トレンドラインも中期的な流れです。25EMAに沿って引いたときよりも、ラインの数は少なく、かわりに1本のラインが長くなります。短期は、直近の値動きに敏感に反応しますから、ラインも短くてあちこち上下動します。短期よりも中期の方が、目先の値動きに反応せず頻繁に角度を変えない点は、移動平均線もラインも同じです。

そうすると、200EMAに沿ったトレンドラインが一番緩やかで長くなるのは、もうおわかりですね。200EMAの長期移動平均線が、そのトレンドの大きな流れであり、大局といえるでしょう。200EMAに沿ってラインを引くと、下図になります。

そして、高値側だけでなく、安値側にもラインを引くと、相場の流れがより鮮明になります。

短期・中期・長期の移動平均線に沿って引くと、いろいろなトレンドラインが引けますから、引いたラインを移動させるなどしてたくさん練習してください。もちろん、実体やヒゲを起点にして引くのが本来のトレンドラインです。移動平均線に沿ったラインはあくまでも練習として、簡単に流れを把握する方法として活用してください。

大きなトレンドラインの中に、小さなトレンドラインがいくつも引けるのがトレンドです。トレンドが発生したら、1本だけ引くのではなく、長いラインや短いラインなど、下図のように短期・中期・長期という3種類のラインを引くと、練習になります。ローソク足にぴったり合わせようとすると迷うので、最初はアバウトに引くように心がけてください。そうした方が、たくさん引けます。 

6. まとめ

トレンドラインを引くと、相場の流れを把握することが可能です。

とにかくラインを引く作業を、何度もこなすことが大事です。たくさん引き、しっくりこないラインを消し、また引き直す作業を繰り返してください。引いたトレンドラインが、ローソク足とぶつかったときにそれがどう機能したのか、最後まで追いかけてみてください。決して、引いて終わりではありません。それが機能したのかどうかまで確認することが大切です。

相場は斜めに進むため、トレンドラインはたくさん引けるはずですトレンドが発生するたびに引く練習をすれば、間違いなく上達するでしょう。ラインを引くだけで、多くの情報を引き出せるようになります。それが勝ちトレードにつながるのですから、効率の良さは抜群です。ぜひ活用してください。