わたしは20年ほどFXをやっており、専業トレーダーになってからは14年です。年間収支を見ると、実は2011年から右肩下がりになっています。「これからFXで稼ぐぞ!」と意気込んで専業トレーダーになったものの、翌年から徐々に稼ぎが少なくなっているのです。そう考えると、何とも皮肉なことですね。

専業トレーダーになったのは、当然ですがFXだけで生計が立てられると踏んだからです。1日中トレードすれば、年間で5000万や1億円の利益を上げられると考えていました。しかし、現実はそう上手くいきません。

これまでの年間収支とグラフを見てください。

【FXの年間収支】

私と同じように、以前は勝てていたものの、最近は利益が少なく以前のような勢いが感じられないトレーダーも多いと推測しています。

『ブログの更新が止まった』
『Xからアカウントが消えた』

このようなトレーダーは怪しいですね。
私はFX以外の収入があるので生き残っていますが、ことFXにおいては、「ぶせなが勝てなくなった」「久しぶりにぶせな見たら利益が出せなくなってて恐怖を感じる」と少なからず言われていると思います。たしかに、専業トレーダーになった途端に年間収支が右肩下がりなので、そう感じる方も多いでしょう。

一方、同じ世代のトレーダーには、5億・10億と右肩上がりで勝っている方もいます。ピーク知らずで年間利益をどんどん更新していきます。こういう方は、トレードだけでなく発信も上手く、数万・数十万単位のフォロワーがいて、まさに皆が憧れるFXトレーダーになっています。

以前は私も同じように勝てていたのに、そのあと右肩上がりと右肩下がりになる「この差」は何でしょうか? 私が勝てなくなったのか、それとも右肩上がりのトレーダーが尋常ではないのか? これについて考察しました。

あくまでも私のことですが、これには「外部要因」と「内部要因」の2つがあると考えています。ちなみに、私自身は損益変動は気にしていません。FXはこれからも続けていきますし、金銭的に困っているわけではありません。かなり楽観的です(だから書けるのですが)。

この記事では「2つの外部要因」について書きます。

1.2016年から相場環境が変化

私が大きく勝てるようになったのは、リーマンショック後の不安定な相場です。特に、ユーロ危機で、ユーロが常に乱高下するという時期がありました(2009年から2013年ころ)。

また、後から分かったことですが、欧米の機関投資家が為替不正操作に関与しており、乱高下に拍車をかけていました。異常なほど投機的な値動きが頻発しており(当時はそれが当たり前だと思っていましたが)、この数年間に「逆張りスキャルピング」がドンピシャで機能し、大きく稼げました。

ユーロ危機が去り、不正操作が摘発されるとユーロの値動きが急激に変わりました(これについてはいつか別の記事で書きます)。ユーロだけでなく、マーケット全体で投機的な短期的な乱高下が減ったのです。

単純に、それまでの手法が通じなくなったと認めざるを得ません。具体的に何が難しいかというと次の2つです。

①チャンスが大幅に減った
②ロットが上げられない

チャンスが大幅に減った、つまりシグナルが極端に少なくなりました。勝てないのではなく、チャンスが減ったということです。

1分足短期トレンドの乱高下で、逆張りスキャルピングが毎日面白いほど機能していましたが、それが難しくなりました。毎日毎日、1日50回や100回程度スキャルピングしていましたが、相場が変わってからは、何日もシグナルが発生しないということが増えてきました。

たまにシグナルが発生すると、躍起になって勝とうとするためか、損切りが遅れたり甘いシグナルでもエントリーしたりします。

また、それまでは、損切りしてもすぐにエントリーチャンスがあり、その日のうちに取り返すことが可能でした。しかし、シグナルが発生してそのトレンドで負けてしまうと、次のシグナルまで取り返せないので、ロットを下げざるを得なくなりました。このように、「逆張りスキャルピング」1本だけでは難しくなりました。

なお、2015年以降は、相場に合わせた「順張りスキャルピング」と「デイトレード」をスタートし、さらにスキャルピングも、長めにホールドする「分スキャルピング」も取り入れました。これまでは「秒スキャの逆張り」だったものを、秒スキャと分スキャにわけて改善したので、現在は問題なくトレードできています。

つまり、現在の手法は下記になります。

①逆張り「秒」スキャルピング
②逆張り「分」スキャルピング
③順張り「秒」スキャルピング
④順張り「分」スキャルピング
⑤逆張りデイトレード
⑥順張りデイトレード

逆張り「秒」スキャルピングのみのシグナルは減ったものの、6つを組み合わせると毎日シグナルはあるので問題ありません。逆に、①の手法のみで、数年間で1億円を超えるまで到達したので、相場の時流に乗れたとは思います。

2.スプレッド拡大と口座凍結

エントリーしようとすると、スプレッドが拡大するという変動制が取られるようになりました。2014年や2015年ころからでしょうか。それまでのスプレッドは「固定制」がメジャーで、ドル円のそれが0.2pipsなら、経済指標発表時以外にスプレッドが広がることはありませんでした。

しかし、「原則固定」になり、少し相場が動いてボラティリティが出ると、経済指標でなくてもスプレッドが拡大するようになりました。

スキャルピングするのは、ボラティリティが出た時ですから、エントリーする場面でスプレッドが拡大しています。これでは、トレードに集中できませんし、広いスプレッドで何度もエントリーすることになります。エントリーをスルーしてチャンスを逃したり、スプレッドが閉じるのを待って含み損が拡大するなど、それまでのサクサクトレードが不可能になりました。

さらに、私がエントリーすると、イグジットするまでスプレッドが拡大するという業者もありました。たった一人の注文がその他すべてのトレーダーに影響を与えていたことになります。これは勘違いじゃないか、他のトレーダーと同じような箇所でエントリーしただけでしょ、と思われるかもしれません。しかし、レンジの時間帯にいきなりエントリーすると、やはりスプレッドが開くのです。

たとえば、14時台の膠着したドル円などです。エントリーしたらスプレッドが開き、イグジットすると閉じる。何度やっても同じで、明らかにおかしいです。動画で録画し、抗議したことがあります(動画を送ってくれと言われたので送りました)。業者は「そのような設定になっていた」と、意図的にそうしていたことをあっさり認め、秒スキャはやめてくれと言われました。

「大きなロットで」「秒スキャ」をするのは、目をつけられていたのでしょう。ちなみに、この業者は顧客狩りをして過去に行政処分も受けています。

このような「秒スキャ封じ」があったのです。今では変動制は当たり前ですが、それまで可能だったことが不可能になった転換時期を経験したことで、危機感を感じました。また、モチベーションも低下しました。

値動きが変わって逆張り「秒」スキャルピングのシグナルが減ったことと、「秒スキャ封じ」のスプレッド拡大や口座凍結が同じ時期に重なったことが、ほとんどの理由です。秒スキャはこれまでより控える、ロットも落とす、という方針になりました。値動き、手法、そしてトレード環境のすべてにおいて悪条件が重なり、右肩下がりになっているのです。

3.まとめ

ここまで、相場やトレード環境の変化による「外部要因」を説明しました。損益が右肩下がりなのは、外部要因が大きいです。これは変えようがありませんから、仕方ないかと考えています。

ただ、外部要因のおかげで、資産運用そのものは上手くいくようになりました。次の記事では、そういった「内部要因」について書きます。