よく使うテクニカル分析のひとつに、「S波動」があります。
「ロールリバーサル」とも言い、波動の一種です。下記15分足チャートの矢印のように、サポートラインを下抜け、その価格帯が今度はレジスタンスラインになることです(上昇トレンドの場合はレジスタンスからサポートへ変化)。
矢印の箇所でサポートラインを下抜け、戻りがレジスタンスラインになって反落します。そこから下降トレンドが発生するので、実践では矢印でショートできます。どこがS波動になりそうか、ネックラインを認識しておけば、下降トレンドが始まるポイントを捉えることができます。
図にすると、次のような値動きです。
理想は、このように戻り高値がネックラインでピッタリとまり、きれいなN波動になるパターンです。もちろん上記チャートのようにピッタリとまって反落することもあります。しかし、毎回そうなるとは限りません。現実は、レジスタンスラインをはみ出すことが多いので注意が必要です。
5分足チャートを見て下さい。
ABと同じ価格帯で反発していますから、サポートラインとして意識されていることは確かです。そして、Cで下にブレイクしたときS波動がイメージできます。実際に、Cで戻りがネックラインでぴったり止まっています。しかし、その後はネックラインを上抜け、Dまで上昇しました。このとき、S波動にならなかったと思うかもしれません。
しかし、失敗ではありません。
ネックラインを挟んで上下に何度も抜けたあげく、結果S波動になるパターンも多いです。ですから、一度ネックラインを上抜けたDのとき、S波動が失敗に終わったと結論づけるのは早いです。値動きには「制動距離」がありますから、売買のバランスが決まるまで、節目付近で上下動する場合もあります。
S波動を活用するときは、ぴったり止まる理想的なパターンだけを求めないようにしています。ちょっとはみ出すけど、いずれS波動になっていく可能性を考えるといいでしょう。ネックライン付近では、上下どちらかにはみ出すものです。S波動が、最終的にNの字(N波動)になるかどうかが大切なので、N波動になるポイントかどうかを先に見ておく必要があります。そのうえで、ネックラインから多少はみ出す場合でも、最終的にN波動を描きはじめたらエントリーを検討できます。