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その利益は安全? リターンの裏に潜むリスク

前回の記事で、証拠金(資産)を増やすには、勝ちトレードだけにフォーカスするのではなく、負けトレードを減らすことがいかに重要であるかを書きました。負けトレードを減らす意識をすると、他の部分で証拠金を増やすことにつながる相乗効果が出てきます。たとえば、トレード全体の「リスク」が少なくなります。

資産運用でいうリスクとは、「資産の損益変動幅」のことです。

「リスクが高い=損する可能性が高い」ではありません。

たとえば証拠金が100万だとして、1回で-50万の損切りをするようなトレードは、資産の変動幅が大きいためリスクが高いと言えます。一方、1回で+50万をたたき出すトレードはリスクが低いのでしょうか? これも変動幅が大きいですから、リスクが高いのです。プラスとマイナスのどちらでも、証拠金に対する変動幅が大きければ、それはリスクが高いのです。

+50万を出すということは、その裏には-50万もあり得たからです。FXに限らず投資全般に言えることですが、利益の裏にどれだけ損失の可能性があったのかを考えることが、リスクの本質です。

1年で+100万が50回あったとしても、-100万が49回あるなら、トータルで+100万です。これは、元手資金に対して損益変動が激しく「リスクがある」トレードをしています。一方、1年間で+1万のトレードを200回、-1万のトレードを100回行ない、トータル+100万だとします。

どちらも年間+100万ですが、その裏に隠れたリスクは天と地ほど異なります。リスクが少ないのは、資金に対してプラスにもマイナスにも変動幅が少ない後者です。

ただし、前者も後者もメリットとデメリットがありますし、リスクが高いからといってトレードで負けるわけではありませんから、結果だけを比較しても意味はありません。リスクを取ったからこそ大きく勝てることも多いのです。ですから、どちらが良いか悪いかは決められません。

重要なことは、「自分でリスク管理ができているかどうか」です。

一つ言えることは、リスク(損益変動)が大きいと、どちらかに大きなブレが生じる可能性が極めて高く、必ずマイナス方向へ大きくブレる時期がきます。取っているリスクは、必ずどこかで顕在化するからです。プラスだけにブレることは無いでしょう。

マイナス方向へ大きくブレた時のメンタルが心配です。資産が急上昇、急降下しているとメンタルがついてきません。資産変動が大きいことの弊害は、メンタルへの悪影響が一番問題と言っても過言ではありません。

次はプラス方向にブレるはずだから、大きく勝てるだろうと冷静に取り返すことが可能でしょうか?

これからFXを何十年も続けたいと考えている方は、隠れたリスクを常に意識し、トレードしてみてください。長期で生き残るのは、勝ちトレードを増やすだけでなく、負けトレードを減らすことや、リスク管理が本当に重要になります。目に見えない部分こそ、トレードの本質なのです。それは自分だけが知るのであり、決して外から見えるものではありません。

リスクを取って大きなリターンを得ているトレーダーが、賞賛される傾向にあります。もちろん大きなリターンは、スキルだけでなくメンタル面も凄いの一言です。ただ、そのリターンの裏に、どのようなリスクがどれだけあったのか、を考えてみて下さい。損失が限定的で、利益をとにかく伸ばしているトレードなら、それは参考にすべきトレードでしょう。

そして、自分もそのようなトレードをするようにします。なるべくして勝っているトレーダーになれますし、長く生き残ることができます。リスク管理は、目に見えないところまで行ないましょう。