FXトレードでは、つい「値ごろ感」でエントリーしてしまいがちです。
特に短期売買になると、1日に何度もポジションを持てるため、「やらなくてもいいトレード」が増えてしまいます。実際には期待値がないにもかかわらず、ポジションを持つだけで「トレードしている気分」になれるからです。ポジションがないと利益が生まれないという焦りから、無理にでもエントリーする心理も働きます。
これは、中長期で相場観を持っている場合にさらに深刻になります。たとえば「ドル円はいずれ160円を超えるだろう」という中長期のシナリオがあるとします。その考え自体は構いませんが、その根拠を短期売買に持ち込むと危険です。「いずれ上がるから」と、今日のデイトレでロングしてしまうケースが典型です。
しかし、今日利益を上げるためのトレードには、短期の根拠が必要であり、中長期の見通しは全く役に立ちません。直近7日間でも(下記チャート)、上がるからといってロングしていると毎日負けるかもしれず、損切りしないでおくと最大300pipsの下落に捕まります。
逆の例もあります。
160円台に近付けば「介入が意識されて下がる」と考え、ドル円をショートしたくなるパターンです。確かに、上がり続ければ介入が入って長期的に下落局面が来るかもしれません。だからといって「今日下がる」とは限りません。これは昨年わたしが大損した例です。
中長期の目線が正しくても、短期の売買タイミングは別問題です。短期足の流れを無視してエントリーするのは、中長期の天底を今日当てようとしているだけで、ほとんどギャンブルと変わりません。
短期売買と中長期の目線を混同すると、「本当は今日やらなくていいトレード」をしてしまい、結果的に資金を減らしやすくなります。短期なら短期で、時間軸に合わせたエントリー根拠が必要です。
トレードの難しさは、複数の時間軸を同時に見られることが、逆にポジポジ病を誘発する点にもあります。中長期のシナリオを持つこと自体は良いことですが、それを短期売買の判断に流用しないことです。たった1回のトレードだからといって、無駄なトレードをしていると、長期的に資金を減らすことになります。
短期なら短期の根拠でトレードする。
当たり前のことですが、自分のトレードになると守れないものです。トレード判断の時間軸と、ポジションホールドの時間軸を合わせるようにしましょう。




